釣具店のエギ売り場に立つと、同じような形のルアーが壁一面に並んでいます。値札には「3.5号」「シャロー」「490グロー」といった見慣れない文字が並び、どれを手に取ればいいのか分からないまま、いちばん目立つ色を選んで帰った——エギングを始めた人の多くが、この入り口でつまずきます。
結論から言うと、エギの種類は「号数(大きさ・重さ)」「沈下速度(タイプ)」「カラー」の3軸で整理できます。この3つの軸さえ理解すれば、壁一面のエギは「自分が行く海に合う数本」まで一気に絞り込めます。最初の1本は3.5号のベーシックタイプで問題ありません。あらゆる状況にある程度対応でき、エギングのスタンダードとされているサイズだからです。
この記事では、号数の寸法・重さの規格から、シャロー/ベーシック/ディープという沈下速度の違い、メーカーが分けている機能タイプ、カラーの決め方、季節による入れ替え、そしてライトエギング・ボートエギング用の別系統まで、メーカー公式スペックの数値を根拠に整理します。読み終える頃には、売り場のパッケージに書かれた表記が全部「意味のある情報」に見えるようになります。
・エギの号数は1号ごとに約3cm・約5gずつ変わるという規格の中身
・シャロー/ベーシック/ディープで沈下速度が約6秒/m・約3〜4秒/m・約2秒/mと変わる理由
・メーカーが分けている機能タイプ(安定フォール型・ハイアピール型・ダート型)の使い分け
・秋の新子と春の親イカで号数を入れ替える具体的なタイミング
エギ種類は「号数・沈下速度・カラー」の3軸で決まる

エギは見た目が似ていても、パッケージの表記を読むと明確に分類されています。分類の軸は3つだけです。この章では、売り場で迷わないための「読み方」を先に押さえます。
売り場で迷うのは、色から選ぼうとしているから
エギ選びで最初に見るべきは色ではなく、号数と沈下速度です。理由は単純で、色は「イカが気づくかどうか」に関わる要素なのに対し、号数と沈下速度は「そもそもイカのいる層をエギが通るかどうか」を決めるからです。どれだけ効くとされる色でも、水深3mの藻場で2秒/mのディープタイプを投げれば、イカが反応する前に海底の海藻へ突っ込んでしまいます。
初心者にありがちなのが、同じ号数・同じタイプのエギを色違いで5本そろえてしまうパターンです。これでは攻められる水深帯が1つしか増えません。まず号数を1〜2種類、沈下速度を2種類そろえ、そのうえで色を足していく順番にすると、少ない本数で状況の幅をカバーできます。
売り場で迷ったら、パッケージ表面の「号数」と、側面や裏面に小さく書かれた「◯秒/m」を先に確認する。この2つが読めれば、選択肢は数本まで絞れます。
号数はエギの「大きさと重さ」を示す規格
号数はエギの全長と重量をまとめて表す単位で、数字が大きいほど長く・重くなります。目安として長さは1号ごとに約3cmずつ長くなり、重さは1号ごとにおよそ5gずつ重くなるという関係があります。2.5号なら約7.57cmで10g前後、3.5号なら約10.60cmで20g前後という具合です。
この規格が効いてくるのは、狙うイカのサイズと飛距離の両面です。号数が上がれば重くなるぶん遠投が効き、風にも強くなりますが、小型のイカには大きすぎて抱ききれません。逆に号数を下げると軽くなり、向かい風で飛ばず、深場では底が取れません。
実際のメーカー製品では、この目安から多少前後します。ヤマシタのエギ王Kは2.5号が11g、3号が16g、3.5号が22g、4号が26gという公式スペックで、同じ3.5号でもモデルによって2gほどの差が出ます。号数は「おおよその物差し」であって、正確な重量は製品ごとに確認するもの、と覚えておくと混乱しません。
「S」「SS」「D」の表記は沈下速度の記号
パッケージに付く「シャロー」「SS」「ディープ」といった表記は、色でもサイズでもなく沈むスピードを表します。ベーシックタイプが約3〜4秒/m沈むのに対し、シャロータイプは約6秒/mとゆっくり沈み、ディープタイプは約2秒/mで速く沈みます。同じ3.5号でも、1m沈むのにかかる時間が3倍違う計算です。
この差が釣果を分けるのは、エギングが「フォール(沈下)中にイカが抱く」釣りだからです。沈下時間が長いほどイカに見せる時間は増えますが、そのぶん潮に流され、深場では底が取れません。水深と潮の速さに合わせて沈下速度を選ぶ、というのがタイプ選択の本質です。
釣具店では同じ品番・同じ色でタイプ違いが並んでいることがあります。目玉やボディの色で識別できるようにしているモデルもあり、エギ王LIVEはシャロータイプの目玉をブルーにして見分けやすくしています。買うときにタイプ表記を見落とすと、浅場用のつもりで深場用を買う事故が起きます。
カラーは「下地テープ」と「ボディ」の2層で考える
エギのカラーは1色ではなく、内側の下地テープと外側のボディカラーという2層の組み合わせで構成されています。アオリイカは光の強弱と色のコントラストに敏感とされ、シルエットや発光を担うベースカラー(下地)が重要な役割を持ちます。
下地の基本は金・銀・赤の3系統です。金テープは朝夕の時間帯向け、銀テープは日中用、赤テープは夜間や光量の少ない状況向けという整理が一般的です。ボディカラーはその上に乗る「見え方の演出」で、2色の組み合わせによるコントラストが捕食本能を刺激すると説明されています。
色の選び方で失敗しやすいのは、ボディの色だけを見て買ってしまうことです。オレンジ系を3本そろえたつもりが下地は全部金テープだった、という買い方をすると、日中の高光量下で使える手札がありません。パッケージ裏の下地表記まで見て、金・銀・赤が最低1本ずつそろう構成を意識してください。
沈下速度=エギが1m沈むのにかかる秒数のこと。「約3秒/m」なら水深6mの底まで約18秒かかる計算になる。数字が大きいほどゆっくり沈み、小さいほど速く沈む。パッケージやメーカー公式の製品ページに記載されている。
1号ごとに約3cm・約5g変わる|号数早見表で自分の1本を決める
号数は規格として整理されているため、表にすると選択が一気に楽になります。ここでは公開されている寸法・重量の目安を一覧にし、どの号数から買うべきかを決めます。
2.5号から4.5号までの寸法・重さ一覧
エギングで一般的に使われるのは2.5号から4.5号までの範囲です。長さと重さは号数に比例して増えていき、2.5号の約7.57cm・10gから、4.5号では約13.63cm・33g以上まで広がります。この幅が、堤防の足元から水深のある深場まで、エギング全体をカバーしています。
号数選びの判断材料は「狙うイカのサイズ」「水深」「風」の3つです。秋の新子(生まれたばかりの幼イカ)が相手なら2.5〜3号、春の産卵で接岸する親イカが相手なら3.5号以上、というのが基本の対応関係になります。
| 号数 | 長さの目安 | 重さの目安 | 主な出番 |
|---|---|---|---|
| 2.5号 | 7.57cm | 10g | 秋の新子/イカの警戒心が強いとき |
| 3号 | 9.09cm | 15g | 秋の標準サイズ |
| 3.5号 | 10.60cm | 20g(目安) | 通年の基準サイズ/春の親イカ |
| 4号 | 12.12cm | 25g | 春の大型狙い/深場・強風 |
| 4.5号 | 13.63cm | 33g以上 | 深場・激流・遠投が要る場面 |

迷ったら3.5号:1本目にこの号数が選ばれる理由
最初の1本を選ぶなら3.5号です。3.5号はあらゆる状況である程度は対応でき、エギングのスタンダードなサイズとして位置づけられています。春の親イカ狙いのメインサイズであると同時に、秋も11月に入ってイカが育ってくれば主力になります。
3.5号が基準になるのは、重量の20g前後という数字が、市販のエギングロッドが背負える範囲の中心にあるからです。エギング用のロッドは3.5号を快適に投げられる設計のものが多く、号数を上げすぎるとロッドの適合を超え、下げすぎると重さが足りずにキャストが決まりません。タックル側の都合からも3.5号が真ん中に来ます。
初心者が3.5号から始めると、フォール中のラインの変化も見やすくなります。軽いエギほど風とラインの抵抗を受けてフォール姿勢が不安定になり、アタリが分かりにくくなるためです。まず3.5号でフォールとシャクリの感覚を覚え、そのあとで号数を上下に広げる順番が遠回りに見えて近道です。

サイズダウンが効く場面と、効かない場面
イカの反応が渋いときは号数を1段階下げるのが定石です。秋の新子シーズンなら基本は15g前後の3号ですが、イカの警戒心が強いときは10g前後の2.5号にサイズダウンするとよいとされています。エギが小さくなるとシルエットが弱まり、追ってきたイカが見切りにくくなるためです。
ただしサイズダウンが逆効果になる場面もあります。風速が上がって糸フケが出る日、潮が速くてエギが浮き上がる日、水深10mを超える深場では、2.5号ではそもそも狙った層まで沈みません。この状況で号数を下げると「見せる前に流される」ことになり、アタリが遠のきます。
判断の目安は、着底までの秒数を数えることです。狙った水深に対して沈下速度から逆算した秒数より明らかに長い、あるいはいつまでもラインが出続けるようなら、それは潮に流されているサインです。号数を下げるのではなく、上げるか沈下速度の速いタイプへ替える場面と判断してください。
同じ3.5号でも沈み方は3倍違う|シャロー・ベーシック・ディープ

号数の次に理解すべきは沈下速度のタイプです。ここを理解すると、「なぜ釣れる人は同じポイントで何本もエギを替えるのか」が見えてきます。
3タイプの沈下速度と適した水深
沈下速度のタイプは大きく3つに分かれます。シャロータイプが約6秒/m、ベーシックタイプが約3〜4秒/m、ディープタイプが約2秒/mです。さらに遅いスーパーシャロー(SS)は約8秒/mという設定で、極端に浅い場所や藻の上を通すために使われます。
この数字は、そのまま「使える水深」に翻訳できます。シャロータイプは水深5m未満の浅場で使用するのが基本、ディープタイプは水深10m以上の深場や潮流の速いタフなコンディションで使うのが基本です。ベーシックはその中間を広くカバーします。
| タイプ | 沈下速度 | 想定水深 | 使いどころ |
|---|---|---|---|
| スーパーシャロー(SS) | 約8秒/m | ごく浅い藻場 | 海藻の上を長く見せたいとき |
| シャロー | 約6秒/m | 水深5m未満 | 浅場・藻場でフォール時間を稼ぐ |
| ベーシック | 約3〜4秒/m | 5〜10mの標準域 | 堤防・磯の大半をカバーする汎用 |
| ディープ | 約2秒/m | 水深10m以上 | 深場・潮流の速い場所/飛距離が要る場面 |
浅い場所ほどゆっくり沈める、という理屈
浅場でシャロータイプを使うのは、フォール時間を確保するためです。水深3mの場所でベーシックタイプを投げると、着底まで10秒少々しかありません。イカがエギを見つけて追いつく前に着底してしまい、アピールの時間がほぼ生まれないのです。
シャロータイプは浅場や藻場など水深がないところでもフォール時間を作り、表層から中層でアピールできるよう設計されています。同じ水深3mでも約6秒/mなら着底まで18秒前後を確保でき、シャクリとフォールの1サイクルで見せる時間が倍近く変わります。
逆に深場でシャローを使うと、底に着く前に潮に流されてエギが浮き上がり、狙ったレンジを通せません。ディープタイプの沈下速度が速いのは、単に早く沈めたいからではなく、着底までのフォールスピードが速いことで潮に流される距離を抑え、深いレンジを正確に通すためです。飛距離が伸びるという副次的なメリットもあります。
藻場でベーシックを投げ続けて根掛かりを繰り返す
初心者の消耗がいちばん激しいのが、藻場でのエギのロストです。海藻が茂った浅場でベーシックやディープを使うと、シャクリの合間のフォールで海藻の隙間に落ち込み、1投ごとに引っ掛かる状態になります。エギは決して安い道具ではないので、これが続くとエギングそのものが嫌になります。
「よく釣れると聞いた藻場」でベーシックタイプを投げ続けて連続ロスト——原因は色でも腕でもなく沈下速度の選択ミス。藻の上を通したい場所では約6秒/mのシャロー、あるいは約8秒/mのスーパーシャローに替えるだけで、同じコースを引いても引っ掛かる回数が大きく減る。根掛かり回避機構を持つモデルを1本入れておくのも有効。
見極め方はシンプルです。着底のたびに「モワッ」とした重みが出る、回収したエギに海藻の切れ端が絡んでいる、という状態は、沈下速度が現場に対して速すぎるサインです。号数を下げるより先にタイプを1段階遅いものへ替えると、ロストが止まります。
スーパーシャローという「もう1段遅い」選択肢
約8秒/mのスーパーシャローは、水深2〜3m台の堤防際や、干潮時に海藻が水面近くまで立ち上がるようなポイント専用の道具です。ここまで遅いと、シャクったあとのエギがほぼ水平に近い姿勢でじわじわ落ちていくため、藻の上でイカに見せ続けられます。
使いどころが狭いぶん、ハマったときの差は明確です。周囲がベーシックを投げて根掛かりに苦しんでいる浅場で、1本だけスーパーシャローを入れておくとエギを失わずに攻め切れます。逆に水深のある場所ではまったく沈まないので、汎用性を期待して1本目に買うタイプではありません。
初心者が最初にそろえるなら、ベーシック2本+シャロー1本の構成が現実的です。これで水深3m台から10m弱までカバーでき、スーパーシャローやディープは通う釣り場が決まってから買い足せば十分間に合います。
メーカーが分けている「機能タイプ」の違いを読む
号数と沈下速度が同じでも、メーカーは目的別にモデルを分けています。ここを理解すると、同じ棚に並ぶ2,000円弱のエギたちが別の道具に見えてきます。
低活性向けの「安定フォール型」
イカの活性が低い日に効くとされるのが、フォール姿勢の安定に振ったモデルです。ヤマシタのエギ王Kは、低活性のイカを釣るためのエギ王Kというコンセプトで開発されたモデルで、船の舵のような役割を果たすハイドロフィンがフォール時のブレを排除する設計になっています。
なぜブレを消すのかというと、活性の低いイカはエギを長時間観察してから抱くかどうかを決めるからです。フォール中に不自然に揺れたり回転したりすると、その時点で見切られます。直進安定性の高いフォールを実現するハイドロシンカー、安定感のあるフォールとスムーズなダートを両立するハイドロボディといった要素は、いずれも「イカに見られても違和感を出さない」ための構造です。
| 分類・方式 | 低活性対応の安定フォール型(エギ王K) |
| 号数・重さ(公式) | 2.5号11g/3号16g/3.5号22g/4号26g |
| 沈下速度・全長 | 2.5号は約5秒/m(75mm)、3号以上は約3秒/m(90mm・105mm・120mm) |
| 向いている用途 | 見切られる日・スレたポイント/全27色から状況に合わせて選べる |
注意点として、この系統は「派手に動かして気づかせる」道具ではありません。イカが薄い場所で広く探す用途には向かず、反応があるのに乗らない、追ってくるのに抱かないという場面で真価が出ます。
光と音で広く探す「ハイアピール型」
反対の設計思想が、フラッシング(光)とサーチラトルの音でハイアピールする系統です。ヤマシタのエギ王SEARCHは、ストロボフィンが平打ちアクションで光を反射させ、イカの視覚へ強烈にアピールする構造を持ち、600Hzを中心としたラトル音で広範囲をサーチできると説明されています。
この系統が効くのは、イカがどこにいるか分からない状況です。広い漁港や砂浜に面したポイントで、まずアピール力の高いエギで反応の有無を確かめ、反応があった場所を安定フォール型で丁寧に攻める——という2段構えができると、同じ時間でも探れる面積が変わります。
スペックは2.5号が12gで約3.6秒/m、3号が17gで約3.2秒/m、3.5号が24gで約2.8秒/mと、号数が上がるほど沈下が速くなる設定です。夜間の使用にも対応する設計で、高活性のイカを狙う場面が主戦場になります。逆に、スレたイカが多い有名ポイントで最初からこれを投げ続けると、警戒させてしまう可能性がある点は理解しておいてください。
ダート性能に振った「軽快アクション型」
3つ目の系統が、シャクリに対する横方向の跳ね(ダート)を重視したモデルです。ヤマシタのエギ王LIVEは軽快ダートモデルとして設計され、環境に優しいスズ素材のブレイドシンカーが水を切り裂くことで鋭いダート性能を実現しています。
特徴的なのがクイックダートという考え方で、前方への移動を33%抑制することにより、エギがポイントを通過しにくくなり、追尾してきたイカにしっかりエギを見せて抱かせられるとされています。同じ回数シャクっても、エギが手前に飛んでこないぶん、イカが追いつく時間が生まれるわけです。
従来モデルより重心を低下させた低重心設計により、ダート時の飛行姿勢も安定します。シャロータイプは3.5号で19g・約6秒/m・全長105mmという設定で、目玉をブルーにしてシャローであることを見分けやすくしています。また、アオリイカは490nm付近の光の波長を最も感じやすいとされ、その波長で発光する490GLOWの目玉カップを備えたモデルもあります。
重心移動・根掛かり回避といった「機構」で選ぶ
ボディ内部の機構でも差別化が進んでいます。ダイワのエメラルダスシリーズのダートLCは磁着式重心移動システムを搭載し、キャスト時は重心を後方へ寄せて飛距離を稼ぎ、着水後は本来の姿勢に戻る仕組みです。Type Sはフォールスピード6秒/mでシャロー域に対応します。
根掛かりに悩む人向けには、着脱式のガードを備えたモデルがあります。ダートLC ネガードは着脱式FDガードの搭載で根掛かり回避性能を大幅に軽減した仕様で、2.5号・3.0号が発売中、3.5号は2026年9月に登場予定とされています。価格はダートLCの通常モデルが1410円、ネガードが1590円です。
機構つきモデルを選ぶときの注意は、機構が働く前提条件を確認することです。重心移動は「キャストして飛ばす」ことを前提にした機構なので、足元を落とすだけの釣りではメリットが出ません。ガード付きは根掛かりを減らす代わりにフッキングの条件が変わるため、まずは根掛かりでエギを失う釣り場に通っている人が候補にすべき道具です。
カラーは3色そろえば足りる|下地から決める手順
カラーは最も本数を増やしやすく、最も無駄が出やすい部分です。下地から決める手順を固定してしまえば、少ない本数で回せます。
金・銀・赤の下地テープを1本ずつ
下地テープの使い分けは光量が基準です。金テープは朝夕の時間帯向け、銀テープは日中用、赤テープは夜間・低光量用という整理が広く使われています。太陽が低い朝夕はギラつきすぎない金、光が強い日中は反射の強い銀、光量のない夜は反射に頼らない赤、という対応です。
この3本があれば、1日の光量変化に対して手札が切れます。逆に下地が偏っていると、時間帯が変わった瞬間に打つ手がなくなります。エギングは夕まずめから夜、あるいは夜明け前から朝まずめにかけて時間帯をまたぐことが多い釣りなので、下地の分散は本数以上に効きます。
ボディカラーは下地を決めたあとの選択です。ベースカラーとボディカラーの2色組み合わせによるコントラストが捕食本能を刺激するとされており、同じ金テープでもボディがオレンジかピンクかで見え方が変わります。まずは下地3系統を確保し、ボディは好みで散らす順番にしてください。
ケイムラ・490グローという「発光」の系統
下地とは別に、光り方で分かれる系統もあります。エギ王Kのカラー展開は標準テープ、ケイムラシリーズ、490グロー、ネオンブライトという構成で、単なる色違いではなく発光特性の違いとしてラインナップされています。
490グローは、アオリイカが490nm付近の光の波長を最も感じやすいという特性に合わせた発光色です。エギ王Kのハイドロアイも490nm波長の発光で視認性を向上させる仕組みで、暗い時間帯や濁りのある状況で「気づかせる」役割を担います。
使い分けの判断材料は、光量と水の透明度です。澄んでいて明るい日中は標準テープ系で十分見えますが、朝夕のまずめ時、濁り潮、常夜灯のない暗い堤防では発光系が候補になります。日中はナチュラルカラーやブルー・グリーン系が有効とされ、夜はカクテルオレンジのような暖色系が定番として挙げられます。ただし色の当たり外れは日によって変わるため、固定せずローテーションする前提で考えてください。
実は、色より先に「沈下速度」をそろえたほうが早い
意外と知られていないのですが、釣果が伸び悩む人の多くは色の手札ではなくレンジの手札が足りていません。エギは10本あるのに全部ベーシックの3.5号、というケースがそれです。色を10回替えても、エギが通る層は10回とも同じですから、イカがいない層を10回探しただけで終わります。
沈下速度を1段階替えると、同じキャストでもエギが通る水深と滞在時間が変わります。約3秒/mから約6秒/mへ替えるだけで、シャクリ1回あたりに見せる時間が倍近くになる計算です。これは色の違いよりはるかに大きな変化です。
予算配分の考え方としては、同じ号数で色を5本買うより、下地違いを3本+沈下速度違いを2本という配分のほうが対応幅は広がります。色をそろえるのは、レンジの手札が一通りそろってからで遅くありません。
エギ種類は季節で入れ替わる|秋の新子と春の親イカ
同じ堤防でも、季節によって使うエギは入れ替わります。イカのサイズが年間を通して変化するためで、ここを外すと「その日1日ずっと合わないエギを投げていた」ということが起こります。
秋は2.5〜3号から入り、11月で3.5号へ切り替える
秋のエギングは、春に産まれた新子(幼イカ)が主なターゲットです。数釣りが成立しやすい時期ですが、イカが小さいぶんエギも小型化させます。9月から10月の新子相手なら基本的には15g前後の3号、警戒心が強い場合は10g前後の2.5号へサイズダウンするのが定石です。
切り替えの目安は11月です。11月に入るとイカが大きくなるため3.5号がよいとされ、ここから春につながる大型狙いのサイズ感に移行します。同じ堤防でも、10月に効いた2.5号が11月には見劣りするということが起こります。
秋の判断のコツは、実際に釣れたイカのサイズを見て次の号数を決めることです。胴長が明らかにエギより小さいなら号数を下げ、エギと同等以上なら上げる。釣れた1杯が次の1手を教えてくれるので、カレンダーだけでなく現物で判断してください。

春は3.5号以上が軸:親イカのサイズに合わせる
春は産卵のために接岸してくる親イカがターゲットで、2kgを超えることもある大型が相手になります。この時期は3.5号以上をメインに選ぶのが基本で、状況によっては4号・4.5号まで上げます。
号数を上げる理由は、大型のイカが小さなエギを抱ききれないことに加え、春は水深のある場所や潮の効く場所を狙う機会が増えるからです。深いレンジを正確に通すには重量が要り、結果的に号数が上がります。
春の親イカは産卵のために接岸してくる個体で、地域によって採捕のルールや遊漁の制限が定められている場合があります。釣行前に都道府県の漁業調整規則を確認してください。
春の戦術は季節の進行とも連動します。シーズン初期は水深20〜30mをボートのティップランで狙い、4月半ばからキャスティングを併用しながら浅場へ移行していくという流れが取られます。秋が浅場から深場へ移行するのに対し、春は深場から浅場へ動く——この逆方向の動きを頭に入れておくと、いつどの号数を持ち出すかが読めます。
秋の新子に4号を投げ続ける、という取り返しのつかない1日
季節と号数のミスマッチは、1日を丸ごと無駄にします。9月の漁港で、春に使った4号をそのまま投げ続けてノーバイト——原因はポイントでも時間帯でもなく、エギが対象魚のサイズに合っていないことです。
前シーズンの残りをそのまま使う——春に活躍した4号(25g)を秋の新子シーズンに投げても、胴長が数cmの幼イカには大きすぎて抱けない。秋の入り口は3号(15g)、渋ければ2.5号(10g)へ。シーズンが変わったら、まずタックルボックスの中身を入れ替えるところから始める。
見極め方は、エギを追ってくるイカが見えているのに抱かない、という状態です。触腕でエギに触れて離れる動きが続くなら、サイズが合っていない可能性が高くなります。1段階下げて反応が変わるかを確かめてください。
堤防で秋にデビューする人
秋の漁港・堤防から始めるなら、3号のベーシックを2本と2.5号を1本という構成が現実的です。9月から10月は新子が相手なので15g前後の3号が基本、渋ければ10g前後の2.5号へ落とせる体制にしておきます。11月以降を見据えて3.5号を1本足しておくと、シーズンを通して使えます。
この時期の失敗は、堤防の水深を確かめないままタイプを決めることです。多くの漁港内は水深5m未満で、ベーシックでも底が近い場所が少なくありません。着底までの秒数を数えて、10秒以内で着くならシャローに替えたほうがフォールで見せられます。
安全面では、堤防でも足元が濡れていれば滑ります。ライフジャケットは常時着用し、夜間は単独釣行を避けてください。釣り場ごとに立入禁止区域や駐車のルールが設定されている場合があるため、現地の掲示に従うことが前提になります。
ライトエギングとボートの釣りは、別系統のエギを使う
アオリイカ用のエギとは別に、小型のツツイカ類や船の釣りに特化した系統があります。同じ「エギ」でも設計思想が異なるため、分けて理解しておくと売り場で混乱しません。
1.5〜2.5号のライトエギング用
ヤリイカやケンサキイカといったツツイカ系を狙うライトエギングでは、1.5〜2.5号という小型のエギを使います。アオリイカ用の3.5号と比べると全長も重量も大きく下がり、専用の軽いタックルと組み合わせる釣りになります。
ヤマシタのNAORY レンジLSは水平フォール(Level Sinking)を採用したモデルで、1.5LSが全長50mm・3.7g、1.8LSが全長60mm・5.7g、いずれも沈下速度7秒/mという設定です。前身モデルの8.5秒/mから「タナを探るのに待てない」という要望を受けて7秒/mへ再設定されており、テンポよく探れるよう調整されています。フックは直曲げ仕様、従来モデルより重量を上げて遠投性能も改善されています。
シマノのセッピーは1.5号が4g、2.2号が8gというラインナップに、2026年1月発売予定として1.8号(7g)が加わりました。1.5号よりわずかに速く沈み、2.2号よりはスローという中間の沈下速度が設定されており、1.5号は低活性、2.2号は高活性という役割分担の隙間を埋める番手です。沈下速度は約5秒/m程度が目安とされていますが、数値の扱いは公式の製品ページで確認してください。
| 項目 | NAORY レンジLS 1.5 | NAORY レンジLS 1.8 | エギドロッパー 1.8 |
|---|---|---|---|
| 全長 | 50mm | 60mm | 80mm |
| 重量 | 3.7g | 5.7g | 公式ページで確認 |
| 沈下速度 | 7秒/m | 7秒/m | 約10秒/m |
| 主な用途 | ツツイカ系のライトエギング | 同上・遠投性重視 | イカメタルの追加アピール |
イカメタルで使う「エギドロッパー」という枝
船のイカメタルでは、メタルスッテの上に小型のエギを枝で付ける釣り方があります。がまかつのスピードメタル エギドロッパー1.8号は、水中での姿勢安定性に優れたマルチに使えるエギドロッパーとして設計され、全長80mm・フォールスピード約10秒/m・カラー展開41色というスペックです。価格は1200円です。
約10秒/mという数字は、ショア用のエギと比べて突出して遅い設定です。独特のボディサイズによりスローフォールと効果的なシルエットを実現しており、潮の速い状況でのイカメタルや、2.5号エギでは対応できないタフなコンディションに対応するという位置づけになっています。
使い方の判断としては、2.5号のエギとサイズローテーションさせるのが有効な設計とされています。潮が速く仕掛けが吹き上がる状況では、重さで押すのではなく、姿勢が崩れないものを選ぶという発想です。船宿ごとに使える仕掛けのルールが決まっている場合があるため、乗る前に確認してください。
ボートは「キャスティング」と「ティップラン」で道具が分かれる
ボートエギングは大きく2つの釣り方に分かれます。キャスティングは陸っぱりのタックルをそのままに、水深10mまでの浅場をキャストして根周りや海藻周りに潜むアオリイカを誘い出す釣り方で、ショアエギング経験者にとって最も親しみやすい方法です。使うエギもショアと同じ号数・タイプで足ります。
もう一方のティップランは、強いバットと繊細なティップを備えたロッドを使い、ティップに現れる変化でアタリを取るメソッドです。水深20m以上の深場を狙い、より重いエギを使用します。船を流しながら真下に近い角度でエギを沈めるため、ショア用のシャロータイプでは対応できません。
ダイワのエメラルダスにはボートキャスティングとティップランの両方に対応するボートCTRが2.5〜3.5号でラインナップされているほか、1.8号の縦ジョイント構造でライトエギングに対応するアモラスジョイント(1830円)といった製品もあります。ボートは未開拓のポイントへアクセスできる釣りですが、その分だけエギの選択も陸とは別に考える必要があります。
船に乗ってステップアップする人
船に乗るなら、まずキャスティングかティップランかで道具が分かれることを押さえてください。キャスティングは陸っぱりのタックルをそのまま持ち込めるので、手持ちの3.5号がそのまま使えます。水深10mまでの浅場を、根周りや海藻周りにキャストして誘い出す釣り方です。
ティップランへ進むなら、専用ロッドとより重いエギが必要になります。水深20m以上を狙うため、ショア用のシャロータイプは戦力になりません。ボートキャスティングとティップランの両方に対応する製品もあるので、どちらもやる予定なら兼用モデルから入るのが無駄がありません。
船に乗る場合、ライフジャケットの着用は前提です。国土交通省の安全基準に適合した桜マーク付きのものを選び、船宿の指示に従ってください。エギは複数本を種類で分けて持ち込み、船長が指示する水深に合わせて沈下速度を替えられるようにしておくと、限られた流しの時間を無駄にせずに済みます。

まとめ:エギの種類は3軸で覚えれば選べる
最初の一歩は、次の釣行で行く堤防の水深を1つ調べることです。着底までの秒数を数えれば、必要な沈下速度はその場で計算できます。水深5m未満ならシャロー、5〜10mならベーシック、10m以上ならディープ——この対応関係が分かった時点で、売り場に並ぶ何十種類のエギは「自分に関係のある数本」まで絞り込まれます。あとは下地テープを金・銀・赤で分散させれば、1日の光量変化にも対応できる最小構成が完成します。
色を増やす前に沈下速度をそろえる、季節が変わったら号数を入れ替える。この2つを守るだけで、同じ本数のエギでも攻められる範囲は大きく広がります。エギングは道具の数ではなく、レンジの手札で釣果が変わる釣りです。
※製品の仕様・価格・発売時期、および釣り場のルールは変更されることがあります。最新の情報は各メーカー公式サイトおよび現地の掲示・自治体や漁協の公式情報でご確認ください。

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