三浦半島の先端にある城ヶ島は、車を停めて数分歩けば堤防にも磯にも立てる、関東でも珍しい地形の島です。ところが実際に調べ始めると「どこで釣っていいのか分からない」「駐車場の料金が場所ごとに違う」「突堤は立入禁止と書いてある」と、情報が噛み合わずに手が止まります。
先に結論を書きます。城ヶ島の釣りは、足場が平らで水深のある「城ヶ島岸壁」と、浅い磯で底物が狙える「長津呂崎」を使い分けるのが基本形です。そのうえで、釣り禁止区間(左右の突堤と養殖エリア)を外し、駐車料金のワンデーパスの仕組みを理解しておけば、初回から迷わずに一日を組み立てられます。
この記事では、釣り場ごとの性格の違い、行ってはいけない場所の線引き、駐車場と時間の制約、釣り方の選び分け、そして磯とアイゴ・ウツボへの備えまでを、三浦市や神奈川県の公式情報をたどりながら整理します。釣果自慢ではなく、「行っていいか・何を守るか・どう釣るか」の順で読める教科書として使ってください。
・城ヶ島岸壁と長津呂崎の違いと、どちらに立つべきかの判断軸
・釣り禁止・立入禁止エリアと、共同漁業権で採ってはいけないもの
・駐車場のワンデーパス(普通車500円)の仕組みと閉門時間の注意
・フカセ・投げ・サビキ・エギングの使い分けと、渡船・海上釣り堀という選択肢
・アイゴの毒への応急処置とウツボの扱いなど、安全面の実務
城ヶ島の釣りが「1島で完結する」と言われる理由
東側は公園と磯、西側は港と岸壁。半日で性格の違う場所に立てる
城ヶ島の釣りが便利なのは、島の東西で釣り場の性格がはっきり分かれているからです。東側は城ヶ島公園と、そこから続く磯場。西側は漁港と、まとまった長さのある岸壁。この2つが車で数分の距離に同居しているため、「朝は磯でメジナを狙い、風が上がったら足場の安定した岸壁に移る」といった組み替えが一日の中でできます。
なぜ差が出るかというと、島の南側から西側にかけては外洋に面した岩礁帯で、水深の変化と潮通しがあり、東側の公園寄りは比較的浅い磯が広がる地形だからです。同じ島でも、狙える魚と必要な仕掛けが変わります。
初めて訪れる人がやりがちなのが、事前に「城ヶ島」とだけ調べて現地に着き、そこから釣り座を探し始めるパターンです。城ヶ島は釣り可能な区間が限定されているため、当てもなく歩くと立入禁止のロープに何度もぶつかって時間を溶かします。地図上で「岸壁に行くのか、磯に行くのか」を先に決め、そこから逆算して駐車場を選ぶのが失敗しない順番です。
判断のコツは風向きです。北東の風が吹く日は東側の磯が釣りになりやすく、南〜南西の風が強い日は外洋に面した磯を避けます。到着してから決めるのではなく、前日の予報で「今日はどちら側か」を決めておくと、現地での移動が1回で済みます。
期待できる魚種は20種類以上。狙いを絞らないほうが釣果は安定する
城ヶ島岸壁で狙える魚は幅が広く、アジ、イワシ、サバ、メジナ、クロダイ、シーバス、真鯛、シマアジなど20種類以上が期待できるとされています(出典:釣り場情報より)。これは、港内の穏やかな水域と、外洋から入ってくる潮の両方の影響を受ける場所だからです。
魚種が多いということは、裏を返せば「本命だけを狙うと坊主になりやすい」ということでもあります。回遊魚が入っていない日にサビキだけを持ち込むと、朝から夕方まで何も起きないことがあります。逆に、フカセの道具一式とサビキ、そして小さめのメタルジグを1つ足しておくと、その日の海の状況に合わせて狙いを差し替えられます。
初心者がつまずくのは、動画で見た釣り方を1つだけ持ち込んでしまうケースです。城ヶ島のように魚種が多い場所では、コマセに寄ってきた魚の正体を見て仕掛けを合わせるほうが結果につながります。まずウキ下を浅くして様子を見て、群れの反応がなければ底を探る、という切り替えを前提に道具を組んでください。
注意点として、魚種によっては採捕してはいけない期間や大きさが決められています。神奈川県の規則については三浦市も注意を促しており、小さすぎる個体は海に戻すのが原則です。
季節ごとに主役が入れ替わる。冬こそ狙い目という見方
城ヶ島は通年で釣りが成立しますが、季節によって主役が入れ替わります。例年、夏から秋にかけてはアジ・イワシ・サバといった回遊魚が接岸し、ファミリーでも数が出やすい時期です。秋にはアオリイカが狙えるサイズに育ち、エギングの人が増えます。
意外と知られていないのが、冬の磯の価値です。長津呂崎では、冬のフカセ釣りで40cmを超えるメジナが期待できるとされています。水温が下がると小魚のエサ取りが減り、本命だけを狙いやすくなるためです。人が減る季節に、良型が狙える。この逆転が城ヶ島の面白さです。
ただし冬は風が課題になります。北東の風が強い日は多くの釣り場が釣りにならず、防寒装備も夏の延長では足りません。冬に磯へ入るなら、風を背にできる場所を選び、濡れた岩の上を歩く前提でソールを選ぶ必要があります。
季節情報は年による変動があります。水温の推移が例年とずれると、回遊魚の接岸も1か月単位で前後します。「例年◯月」はあくまで目安として、直近の状況は現地の釣具店や公式の掲示で確認するのが確実です。
足場のいい岸壁か、浅い磯か。ポイントの選び分け
城ヶ島岸壁は「水深があって平ら」。最初の一歩に向く場所
迷ったら城ヶ島岸壁です。理由は単純で、足場が平らでコンクリート、そして水深があるからです。磯のように岩の上を跳ぶ必要がなく、荷物を置いてから釣り座を決められるので、道具の多いフカセ釣りやサビキ釣りと相性がいい場所です。ウキフカセ釣り、投げ釣り、サビキ釣りのいずれも成立します。
ただし、釣り可能な区間が限定されている点は必ず頭に入れてください。左右の突堤は釣り禁止で、区画の途中には養殖エリアがあり、そこを避ける必要があります。「岸壁だからどこでも投げていい」わけではありません。
よくある失敗は、荷物を運ぶために車を釣り座の横につけてしまうことです。城ヶ島岸壁では車の横付けは禁止されています。ここは漁業者が仕事で使う場所であり、作業動線を塞ぐと釣り場そのものが閉鎖される引き金になります。運搬は台車を使ってください。
もう一点、航路への遠投も避けるべき行為とされています。船が通る筋に仕掛けを入れると、ラインがスクリューに巻き込まれる事故につながります。投げる方向を決めるときは、正面の海面だけでなく、船がどこを通っているかを数分眺めてから決めるのが現場の作法です。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 営業時間 | 駐車場: 4月~9月 8:00~19:00、10月~3月 8:00~17:00 |
| 定休日 | 駐車場の営業時間に準じる |
| アクセス | タイムズ京急城ヶ島駐車場から徒歩1分 |
| 駐車場 | タイムズ京急城ヶ島駐車場(24時間営業、平日500円/日、土日祝600円/日) |
| 公式サイト | 公式サイト |
長津呂崎は浅い磯。混雑が少なく、北東風に強いという穴場性
長津呂崎は、城ヶ島の磯の中では入りやすい部類のポイントです。水深は浅く、フカセ釣り・穴釣り・エギングが成立します。狙えるのはメジナ、クロダイ、カサゴ、アオリイカ。浅い磯のため底物が集中しやすく、難易度も周辺のポイントと比べれば易しい部類とされています。
ここで押さえておきたいのが「実は空いている」という点です。城ヶ島の有名ポイントは休日に人が集中しますが、長津呂崎は周辺と比較して混雑が少ないと評価されています。加えて北東の風に強いため、他の釣り場が風で潰れる日にも成立しやすい。冬の北東風が吹く日に行き先の候補として持っておくと、無駄足が減ります。
失敗しやすいのは、浅い磯であることを忘れて仕掛けを重くしすぎるパターンです。水深がない場所で重いオモリを使うと、仕掛けが一気に底に張り付き、根掛かりを繰り返して手返しが落ちます。浅場では軽い仕掛けをゆっくり流し、根の際を舐めるように通すほうが結果につながります。
注意点は足元です。磯である以上、濡れた岩は滑ります。スパイクシューズは必須で、荷物は最小限にまとめてください。トイレと自動販売機は近くにありますが、磯の上には何もありません。飲み物と、切った仕掛けを入れるゴミ袋は自分で持ち込みます。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 営業時間 | 24時間(アクセス可能) |
| 定休日 | なし |
| アクセス | 城ヶ島公園第1駐車場から約10分 |
| 駐車場 | 城ヶ島公園第1駐車場(24時間営業、最大450円/日) |
【海釣りの教科書調べ】城ヶ島の主要スポット比較(公式・釣り場情報より作成)
どこに立つかを決めるための比較表です。公表されている情報から、水深・釣り方・ターゲット・足場の条件を横並びにしました。自分の装備と体力に合う場所を選ぶ材料にしてください。
| 項目 | 城ヶ島岸壁 | 長津呂崎 | 海上釣り堀 |
|---|---|---|---|
| 水深 | 深い | 浅い | 海上イケス |
| 主な釣り方 | ウキフカセ・投げ・サビキ | フカセ・穴釣り・エギング | 貸し竿でのエサ釣り |
| 主なターゲット | アジ・イワシ・サバ・メジナ・クロダイほか | メジナ・クロダイ・カサゴ・アオリイカ | ブリ・マダイ・シマアジ・ヒラメほか |
| 足場・難易度 | 平らな岸壁/釣り可能区間が限定 | 磯・スパイク必須/難易度★★☆☆☆ | 桟橋・道具の貸出あり |
| 向いている人 | 初めての城ヶ島・荷物が多い人 | 磯で本命を狙いたい人・北東風の日 | 家族連れ・道具を持たない人 |
磯そのものの立ち回りをもう少し詳しく知りたい場合は、同じ三浦の磯を扱ったこちらの記事も参考になります。

行く前に必ず確認したい「釣ってはいけない場所」
突堤と養殖エリアは対象外。釣り可能区間は思ったより狭い
城ヶ島で最初に覚えるべきなのは、釣れる場所ではなく釣ってはいけない場所です。城ヶ島岸壁では左右の突堤が釣り禁止、さらに区画の途中に養殖エリアがあり、そこは避ける必要があります。つまり「岸壁の全長で釣れる」わけではなく、釣り可能な区間は限定されています。
理由は、これらが漁業の現場だからです。突堤は係留や作業に使われ、養殖エリアは生産設備そのものです。ここに仕掛けを入れることは、他人の仕事道具に針を引っ掛ける行為にあたります。
初めて来た人が引っかかりやすいのが、「ロープが張られていない=入っていい」という誤解です。掲示だけで管理されている区間もあり、ロープの有無は判断材料になりません。現地の看板を読み、書いていなければ入らない。この順番を守ってください。
もう1つ、城ヶ島大橋から降りてすぐ左側の磯は立入禁止とされています。橋の下は一見すると釣り座に見えますが、ここは対象外です。また、城ヶ島岸壁の左側スペースは投げ釣りが禁止されています。同じ岸壁でも、場所によって許される釣り方が違う点は覚えておく価値があります。
ネットの古い釣り場記事を根拠に釣り座を決めると、現在は立入禁止になっている場所に入ってしまいます。三浦市ではマナー問題への対応として、釣りができない立入禁止区域が増えているとされています。記事の情報は「候補を絞るため」に使い、最終判断は現地の掲示に従ってください。
共同漁業権とは何か。アワビ・サザエ・伊勢エビは対象外
城ヶ島を含む三浦市沿岸には、共同漁業権が設定されています。三浦市は公式サイトで「三浦市沿岸の海や磯には共同漁業権が設定されており、乱獲防止と魚貝類や海藻類繁殖のために岩場の整備に努めています」と説明しています(出典:三浦市 海業水産課)。
この権利があるため、組合員以外はアワビ・サザエ・伊勢エビ・タコ・海藻などを採ることができません。磯で見つけても、持ち帰った時点で違反になります。潮だまりで貝を拾う行為も同じ扱いになりうるため、子ども連れの場合は事前に伝えておくのが安全です。
「知らなかった」で済まないのがこの分野です。実際、磯遊びの延長で貝を集めて指導を受ける例は各地で起きています。竿を出す前に、その海に誰の権利が設定されているかを確認する。これは城ヶ島に限らず、初めての海に行くときの共通手順です。
さらに、魚種によっては採ってはいけない期間や大きさも決められています。判断に迷う場合は三浦市の海業水産課の案内ページを確認するのが確実です。
共同漁業権=一定の海域で、地元の漁協が共同で水産動植物を採る権利。この権利の対象になっている貝類・海藻・甲殻類などは、組合員以外が採ることを禁じられています。「釣り」が認められている海でも、「採捕」は別物として扱われる点が要点です。
立入禁止が増えている背景。ゴミとコマセが釣り場を閉じる
城ヶ島に限らず、三浦半島では釣り可能な場所が年々狭くなっています。理由は明快で、駐車・ゴミ・騒音といったマナーの問題が積み重なり、管理者が立入禁止で対応せざるを得なくなるからです。城ヶ島岸壁でも、コマセやゴミの放置は禁止行為として明示されています。
コマセは特に問題になりやすい要素です。撒いた分は海に入りますが、足元に落ちた分は乾いて強い臭いを出します。夏場は数時間で周囲に広がり、近隣からの苦情になります。帰り際にバケツ1杯の海水を流すだけで、この問題のほとんどは消えます。
ありがちなのは、切れたライン・使い終わったサビキ・空のコマセ袋をその場に残すパターンです。ラインは鳥や船のスクリューに絡み、針は素足の観光客を傷つけます。城ヶ島は観光地でもあるため、釣り人以外が同じ場所を歩きます。
判断の基準は「来たときより1つきれいにして帰る」で十分です。自分のゴミに加えて、目に入った仕掛けの切れ端を1つ拾う。これを全員がやれば、釣り禁止区域が増える速度は確実に落ちます。釣り場を残す努力は、次に行くときの自分のためでもあります。
駐車場とアクセスで損しない「ワンデーパス」の使い方
普通車500円で島内の公共駐車場が出入り自由になる仕組み
城ヶ島に車で行くなら、最初に理解すべきは駐車料金の仕組みです。島内の公共駐車場ではワンデーパスが採用されており、料金は普通車が500円(緑化協力金含む)、二輪車が100円、大型車が1,000円です。高さ2.3m以上の車は大型車扱いになります。
この制度の要点は、どこか一箇所で支払えば、当日中は島内の他の公共駐車場を何度でも出入りできることです。支払い時にワンデーパスが発行されます。つまり「朝は磯側に停めて、昼から岸壁側に移動する」という動きをしても、追加の駐車料金はかかりません。城ヶ島の釣りで釣り場を渡り歩けるのは、この制度があるからです。
逆に言えば、パスを受け取らずに移動すると、移動先でもう一度支払うことになります。支払い時に渡される紙をダッシュボードに置いておく。これだけで済む話ですが、知らずに二重に払う人は少なくありません。
有効期限は当日限りです。日付が変わると別料金になるため、深夜に到着して車中泊し、翌朝から釣る場合は日付の扱いに注意してください。なお、県立城ヶ島公園の駐車場では障害者料金として無料の扱いがあります。
営業時間が最大の制約。夕マヅメを狙うなら停める場所を選ぶ
城ヶ島の釣りで最も見落とされるのが、駐車場の営業時間です。公共駐車場の営業時間は4月~9月が8:00~19:00、10月~3月が8:00~17:00です。第1駐車場は106台の規模がありますが、時間外は出入りできません。
ここに、釣り人特有の問題が生まれます。朝マヅメと夕マヅメは、まさにこの時間帯の外側にあるからです。冬場は17:00で閉まるため、日没まで竿を出していると車が出せなくなります。逆に朝も8:00からなので、夜明け前から入るという計画は公共駐車場では成立しません。
解決策は2つあります。1つは24時間営業の駐車場を使うこと。城ヶ島には24時間営業の民間駐車場や西側の駐車場があり、料金は平日500円、土日祝600円程度と案内されています。もう1つは、時間内で完結する釣行計画に切り替えることです。
失敗パターンとして多いのが、「まだ釣れているから」と閉門時刻を過ぎてしまい、車を出せずに深夜まで足止めされるケースです。到着したらまず看板で当日の時間を確認し、スマートフォンに撤収のアラームを1つ入れておく。この一手間で防げます。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 営業時間 | 4月~9月: 8:00~19:00、10月~3月: 8:00~17:00 |
| 定休日 | 年中無休 |
| アクセス | 城ヶ島大橋を渡ってすぐ、京急城ヶ島駅からバスで約10分 |
| 駐車場 | 第1駐車場(106台)、西側駐車場(24時間)含む計6箇所 |
| 公式サイト | 公式サイト |
電車とバスで行くという選択肢。荷物を減らせば成立する
城ヶ島は公共交通でも行けます。城ヶ島公園駐車場のあるエリアへは城ヶ島大橋を渡ってすぐで、京急城ヶ島駅からバスで約10分の距離です。海上釣り堀へは、京急久里浜線の三崎口駅からバスで約30分、「城ヶ島」停留所から徒歩1分と案内されています。
公共交通の利点は、駐車場の営業時間に縛られないこと、そして飲酒運転の心配なく帰れることです。一方で制約もはっきりしていて、クーラーボックスとバッカン、竿ケースを抱えてバスに乗るのは現実的ではありません。
電車で行くなら、装備を絞るのが前提になります。竿1本、リール1台、小型のクーラー、仕掛けはケース1つ。サビキかエギングのように道具が少ない釣りを選べば、十分に成立します。逆にフカセ釣りでコマセを扱うなら車のほうが現実的です。
判断のコツは「氷とコマセをどう運ぶか」です。この2つが荷物の重さを決めます。現地で調達できる前提を作れないなら車、装備を絞れるなら電車とバス。この線引きで考えると迷いません。
釣り方は4つ。城ヶ島で何を持っていくか
フカセ釣り:メジナ・クロダイを狙う本命の釣り方
城ヶ島岸壁でも長津呂崎でも成立するのがフカセ釣りです。コマセで魚を浮かせ、同じ沈み方をする刺しエサを潮に乗せて流す釣り方で、メジナとクロダイが主な対象になります。冬の長津呂崎で40cmを超えるメジナが期待できるのも、この釣り方が軸になっています。
理屈は「コマセと刺しエサを同調させる」の一点に尽きます。コマセだけが流れて刺しエサが遅れれば、魚は仕掛けのないところに集まります。だからウキの浮力とガン玉の重さを調整して、刺しエサの沈下速度をコマセに合わせます。号数の話がついて回るのはこのためです。
初心者の典型的な失敗は、コマセを一箇所に大量に撒くことです。撒きすぎると魚が満腹になり、刺しエサを食う理由がなくなります。少量を一定のリズムで撒き続け、そこに仕掛けを通すほうが結果が出ます。
注意点として、浅い磯ではオモリを足しすぎないこと。長津呂崎のように水深がない場所では、軽い仕掛けをゆっくり流すほうが底物に届きます。仕掛けの組み方は下の記事で号数ごとに整理しています。

投げ釣り・ぶっこみ釣り:場所ごとの可否を必ず確認する
城ヶ島岸壁では投げ釣りも成立しますが、左側のスペースは投げ釣り禁止とされています。同じ岸壁の中で可否が分かれるため、「岸壁=投げていい」と考えるのは危険です。到着したら、自分が立つ位置の掲示を確認してください。
投げ釣りが有効なのは、足元に反応がないときです。表層と中層を探っても何も起きない日は、砂地の底を探ると答えが出ることがあります。オモリを底に置いてアタリを待つぶっこみ釣りなら、竿を置いたまま別の釣りと並行させることもできます。
やりがちな失敗は、混雑した釣り座で全力の遠投を繰り返すことです。城ヶ島岸壁は人が並ぶ場所なので、後ろに人がいる状態での振りかぶりは事故につながります。振り向いて背後を確認してから投げる。これは技術ではなく作法の問題です。
そして最大の注意点が航路です。船が通る筋への遠投は避けるべき行為とされています。投げる方向は、正面が空いているかではなく、船の通り道を外しているかで決めてください。
サビキ釣り:家族連れで結果を出しやすい入口
アジ・イワシ・サバを狙うなら、城ヶ島岸壁でのサビキ釣りが最も再現性の高い選択です。足場が平らでコンクリートのため、子どもを連れていても荷物を広げやすく、仕掛けもシンプルで済みます。
サビキが効くのは、コマセで小魚の群れを足元に留められるからです。回遊魚は一度足元に入ると同じ場所に滞留する時間があり、その間は入れ食いになります。逆に群れが入っていない時間帯は、どれだけ投げても反応がありません。
初めての人が陥りやすいのが、反応がないのに同じ場所で粘ることです。サビキは「群れが来るまで待つ」釣りではなく、「群れがいる場所に移る」釣りでもあります。周囲の竿が曲がっている方向があれば、そちらに寄る判断も必要です。
子ども連れの場合、注意点は魚よりも足元と針です。岸壁は柵のない場所があり、水面までの高さがあります。ライフジャケットは大人以上に重要で、外した針を放置しないことも徹底してください。
エギング:秋のアオリイカを長津呂崎で狙う
長津呂崎はエギングが成立するポイントで、アオリイカが対象になります。浅い磯で藻場が絡む地形はアオリイカの生活圏そのもので、秋に育った個体を狙う釣りとして定番です。
エギングが浅場で有利なのは、エギの沈下時間が短くて済むからです。深場では底を取るまでに時間がかかりますが、浅場ではキャストから数秒で誘いに入れるため、手数が増えます。手数が増えれば、その日の当たりカラーや動かし方を見つけるまでの時間も短くなります。
失敗しやすいのは、浅場で深場と同じ重いエギを使うことです。着底が早すぎて根掛かりを繰り返し、エギを何個も失って終わります。浅い磯では沈下の遅いタイプを選び、底に着ける前にシャクリを入れるのが基本です。
注意点は足元と時間帯です。マヅメ時は暗くなるのが早く、磯の上での移動が危険になります。ヘッドライトは必ず携行し、暗くなる前に撤収経路を歩いて確認しておくこと。エギングは夜に伸ばしたくなる釣りだからこそ、撤収時刻を先に決めておく価値があります。
渡船と海上釣り堀という、天候と腕に左右されにくい選択肢
渡船の仕組み:料金に何が含まれ、何時に集合するのか
城ヶ島周辺には、沖の堤防や島に渡る渡船があります。ここでは特定の船を推すのではなく、仕組みと考え方を整理します。渡船料金は「渡す場所ごとに設定される」のが一般的で、近い堤防より遠い島のほうが高くなります。差は数百円から千円程度の幅に収まることが多く、料金にコマセが含まれるプランもあります。ルアーでエサが不要な場合は割引になる船もあります。
集合時間の考え方も共通しています。出船時刻の60分前に到着して受付と支払いを済ませる形が多く、これは荷物の積み込みと人数確認に時間がかかるためです。「出船時刻に着けばいい」と考えて遅れると、その日は乗れません。
帰りの便は、複数の時刻から選べる形式が一般的です。14:00・15:00・16:00といった選択肢が用意され、乗るときに申告します。初めてなら早い便を選ぶのが無難です。磯や堤防の上には逃げ場がなく、体力を使い切ってから3時間待つのはつらいからです。
注意点は中止の判断です。渡船は風と波で欠航します。前日の予報で波が高い日は、朝に電話で確認するのが前提になります。渡された先で天候が崩れれば、予定より早い便で回収されることもあります。渡船は「乗せてもらう」のではなく「判断を委ねる」乗り物だと考えてください。
海上釣り堀という答え。道具がなくても成立する一日
「家族で行くが、坊主だけは避けたい」という場合の選択肢が海上釣り堀です。城ヶ島には海上のイケスで釣る施設があり、ブリ、マダイ、シマアジ、ヒラメ、カンパチ、スズキが対象になります。営業時間は9:00~16:00、定休日は毎週火曜(祝日の場合は水曜)と、年末年始が約4日間の休みです。
コース料金は4,950円~14,300円程度で、入場時間とグループの人数によって変わります。竿・タックル・道具は無料で貸し出され、針はバーブレスフック(かえしのない針)が使われます。手ぶらで行けるという点で、他の選択肢とは性格が違います。
ルールもはっきりしています。上腕投げは禁止で、ファイトのみが可能。子どもはライフジャケットの着用が必須です。イケスの周りは人が密集するため、大きく振りかぶるキャストは事故につながるからです。
使いどころは、天候が読めない週末や、釣り経験のない人を連れて行く日です。磯や岸壁と違って足場が管理されており、道具の準備も不要。まず魚が引く感覚を体験してもらい、次に岸壁のサビキへ進む、という順番は無理がありません。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 電話番号 | 046-854-9891 |
| 営業時間 | 9:00~16:00 |
| 定休日 | 毎週火曜(祝日の場合は水曜)、年末年始約4日間 |
| アクセス | 京急久里浜線三崎口駅からバスで約30分、「城ヶ島」停留所から徒歩1分 |
| 駐車場 | 施設内に駐車場あり |
| 公式サイト | 公式サイト |
| 施設タイプ | 海上イケス釣堀 |
| 対象魚種 | ブリ、マダイ、シマアジ、ヒラメ、カンパチ、スズキ |
| 道具 | 釣竿・タックル完備(無料貸出/バーブレスフック使用) |
| ルール | 上腕投げ禁止・ファイトのみ可/子どもはライフジャケット着用必須 |
シーン別の選び分け:初めて/家族/本命狙い
ここまでの選択肢を、読者のタイプ別に整理します。まず初めて城ヶ島に行く人は、城ヶ島岸壁のサビキかフカセから始めるのが確実です。足場が平らで、駐車場から近く、釣り可能区間さえ守れば道具のトラブルにも対応しやすいためです。
次に小さな子ども連れの家族は、海上釣り堀が最も安全側の選択になります。道具の貸出があり、ライフジャケットの着用がルール化され、時間も9:00~16:00の枠内で完結します。自然の釣り場のように潮位や風で状況が壊れることもありません。
そして本命の魚を狙いたい人は、長津呂崎の磯でのフカセ釣りか、渡船で沖の堤防や島に渡る形になります。北東風が強い日は長津呂崎、風が落ち着いている日は渡船、という使い分けができると、行き先の選択肢が広がります。
迷ったときの判断は、その日の風の予報と、同行者の中で一番経験の浅い人に合わせることです。自分にとって快適な釣り場が、同行者にとっては危険な場所ということは磯では珍しくありません。
城ヶ島は初心者だけで行っても大丈夫ですか?
城ヶ島岸壁のように足場が平らな場所であれば成立します。ただし磯に入る場合は話が別で、満潮と干潮の差が大きく、潮が満ちて戻れなくなる危険があります。磯に立つなら経験者と一緒に行くか、まずは岸壁で数回通って地形を覚えてからにしてください。
城ヶ島の釣りを安全に終える装備と、毒を持つ魚への備え
ライフジャケットとスパイクシューズは省略できない2点
城ヶ島で釣りをするなら、ライフジャケットとスパイクシューズは必須です。磯釣りと渡船では、この2つが装備の前提になります。岸壁でも柵のない区間があるため、着用しておく価値は変わりません。
スパイクが必要な理由は、濡れた岩と海藻の上では通常のソールがほとんど効かないからです。乾いた岩を歩いて「滑らない」と判断し、波を被った区間で足を取られる。この流れが磯の転倒事故の典型です。ライフジャケットは、落水したあと自力で上がれない状況で浮力を確保するための装備です。
選ぶ際は、浮力の性能が確認された製品かどうかを見てください。船に乗る場合は、国が定めた基準に適合した「桜マーク」つきの製品が必要になる場面があります。作業用のベストや、ポケットの多いだけのベストは代用になりません。
注意点として、装備は着てこそ意味があります。暑い時期に脱いでしまう、股下のベルトを留めないといった状態では機能しません。基準と選び方は下の記事で整理しています。

潮位と風。城ヶ島の磯で最も怖いのは「戻れなくなる」こと
城ヶ島の磯では、満潮と干潮の差が大きく、満潮時に戻れなくなる危険があるとされています。これは磯釣りの事故として最も多いパターンの1つです。入るときは歩けた岩の道が、数時間後には水没している。そのときには周囲も暗くなっている、という展開になります。
対策は単純で、入る前に当日の潮汐を調べ、満潮の時刻に自分がどこにいるかを決めておくことです。潮汐は気象庁などの公開データで確認できます(気象庁)。撤収の時刻を潮に合わせて先に決め、釣果に関係なくそこで上がるのが磯の作法です。
風も同様です。風が強い日は波も高くなり危険なため、釣りを中止する判断が推奨されています。特に磯では、風速の数字よりも「波が足元まで届くかどうか」が判断基準になります。到着して5分間、波が上がってくる高さを観察してから釣り座を決めてください。
単独釣行の場合は、行き先と帰宅予定時刻を必ず誰かに伝えておくこと。磯では携帯の電波が届かない場所もあります。連絡が取れない状態で予定時刻を過ぎたときに、誰かが気づける状態を作っておくのが最低限の備えです。
アイゴの毒:40~45℃のお湯に浸けるのが応急処置の基本
城ヶ島を含む堤防・磯では、夏を中心にアイゴが釣れます。この魚は背ビレ・腹ビレ・臀ビレに毒を持ち、刺されると強い痛み・腫れ・しびれが数時間から数日続きます。稀にアナフィラキシーショックを起こす例もあります。
アイゴの毒はタンパク質毒であるため、熱で構造が壊れます。応急処置は40~45℃程度の耐えられる熱さのお湯に、患部を30~90分ほど浸けることです(出典:釣り情報サイトの解説)。釣り場でお湯が用意できない場合は、近くのコンビニで分けてもらう方法が現実的です。
最も多い失敗は、釣れた魚を確認せずに素手で掴むことです。夜間やマヅメ時は魚種の判別が遅れます。防ぐ方法は1つで、釣れた魚は必ずフィッシュグリップとプライヤーで扱うこと。素手を使わない習慣にしておけば、魚種を見誤っても被害は出ません。
判断の分かれ目は症状です。痛みと腫れだけならお湯での処置で経過を見ますが、呼吸が苦しい・意識がはっきりしないといった症状が出た場合は、躊躇せず救急車を呼んでください。毒の症状の重さには個人差があり、我慢して様子を見る判断が最も危険です。
釣れた魚を「たぶんこれは大丈夫」と素手で掴むのが、堤防で最も多い受傷パターンです。アイゴは背ビレ・腹ビレ・臀ビレに毒を持ち、死んだ後のヒレでも刺されます。フィッシュグリップとプライヤーを最初から手元に置き、針を外すまで魚に直接触れない手順にしてください。
ウツボは毒よりも歯が問題。扱いに迷ったらリリースする
磯の穴釣りや底を狙う釣りでは、ウツボが掛かることがあります。ウツボは通常は毒を持ちませんが(毒を持つ種は沖縄など南方に分布)、強力な顎と鋭い歯を備えており、噛まれると深い傷になります。皮膚呼吸ができるため、陸に上げてからも数時間は生きて動き続けます。
ここが厄介な点で、「もう動かないだろう」と油断した頃に暴れます。クーラーに入れたつもりが足元に落ちて跳ねる、といった状況も起こります。掛かった時点で、ラインを切って海に戻すのが最も安全な選択です。
食べる文化がある魚でもあります。旬は冬とされ、臭みが少ないのは11月末~3月頃です。ただし血液に血清毒が含まれるため、食べる場合は血抜きを必ず行う必要があり、骨の処理も一般的な魚とは別物です。見た目だけでは毒の有無を判別できない魚もいるため、判断に迷う魚は食べないでください。
釣った魚の可食可否で迷ったときの原則は同じです。自分で断定せず、公的機関の情報を確認するか、その場で海に戻す。持ち帰りの判断を保留にできることも、釣り人の技術のうちです。
まとめ:城ヶ島の釣りは「場所選び」と「ルール確認」で9割決まる
城ヶ島は、1つの島の中に性格の違う釣り場が集まっている珍しい場所です。足場が平らで水深のある城ヶ島岸壁は、荷物の多い釣りや初めての一日に向きます。浅い磯の長津呂崎は、冬に40cmを超えるメジナが期待でき、北東風の日にも成立する使い勝手のいいポイントです。道具がない日や家族連れの日には、海上釣り堀という選択肢もあります。
一方で、この島は釣り可能な区間が限定されています。左右の突堤は釣り禁止、養殖エリアは避ける、城ヶ島大橋を降りてすぐ左側の磯は立入禁止。さらに沿岸には共同漁業権が設定されており、アワビ・サザエ・伊勢エビ・タコ・海藻などは組合員以外が採ることはできません。マナー問題への対応として立入禁止区域が増えているという現状もあり、「釣れるかどうか」より「釣っていい場所かどうか」を先に確認する順番が大切です。
駐車場は、普通車500円・二輪車100円・大型車1,000円のワンデーパスで島内の公共駐車場を出入りできます。ただし営業時間は4月~9月が8:00~19:00、10月~3月が8:00~17:00で、夕マヅメと重なる時間帯には注意が必要です。そして安全面では、ライフジャケットとスパイクシューズ、潮位の確認、アイゴを素手で掴まないこと。この3つが城ヶ島で一日を無事に終えるための条件です。
最初の一歩としておすすめしたいのは、まず城ヶ島岸壁に一度立ってみることです。現地の掲示で釣り可能な区間を自分の目で確認し、ワンデーパスの仕組みを一度体験しておけば、次からは磯にも渡船にも進めます。竿を出す前の30分を、地形と看板を見る時間に使ってください。
※駐車場の料金・営業時間、施設の営業日、釣り禁止区域の範囲は変更される場合があります。釣行前に各公式サイトおよび現地の掲示で最新の情報をご確認ください。
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