東京湾のタチウオ釣りは、20年ほど前まで「夏に始まって年明けに終わる釣り」でした。ところが今は真冬でも船が出て、真夏の浅場でも数が釣れます。同じ湾の同じ魚なのに、狙う場所も号数も季節でまるで変わる。この変化を知らずに古い情報のまま出かけると、仕掛けだけが手元に余ります。
結論から言えば、東京湾のタチウオはオモリ・テンヤともに40号が基準で、そこに季節ごとのエリア移動を重ねれば道具選びはほぼ決まります。船なら水深50〜80mを狙うテンビンかテンヤ、堤防なら夜の電気ウキかワインド。この4つの入り口を押さえるだけで、初めてでも当日の道具に迷わなくなります。
この記事では、釣期が通年化した背景から、テンビンとテンヤの構造の違い、乗合船の料金と当日の流れ、堤防で成立する釣り方、そして釣った後の歯とアニサキスの扱いまでを、公的資料と公開情報の数字で順に整理します。「釣れる場所」よりも先に「守ること」を書くのが本記事の方針です。
・東京湾でタチウオの釣期が通年化した理由と、季節ごとにポイントが動く方向
・テンビン仕掛けとテンヤ仕掛けの構造・号数・エサの違いと選び分け
・乗合船の公開料金の実例と、桜マーク付きライフジャケットの着用義務
・堤防で組める3つの釣り方と、歯対策のワイヤーリーダー30cm
・釣った後の血抜き・氷締めとアニサキス対策(-20℃で24時間以上)
東京湾太刀魚に「シーズンオフ」がなくなった理由

20年前は年明けの久里浜沖で釣期が終わっていた
今の東京湾には、タチウオのシーズンオフと呼べる期間がほとんどありません。釣り情報メディアの生態解説によれば、2000年代初頭の東京湾では「盛夏に横須賀から富津沖の水深10m代の浅場で太刀魚が釣れ盛り、ポイントは水温低下とともに湾口の深場へと移り、年明けの久里浜沖水深100m超で釣期が終わった」とされています(つりびとオンライン)。つまり当時は、湾内に入ってきた群れが冬に湾外へ抜けていく「季節回遊の魚」でした。
それが過去20年間で釣り場が湾奥まで広がり、オフシーズンがなくなり、東京湾での再生産が裏づけられるようになった、と同記事は説明しています。冬に釣り具を片づける必要がなくなった代わりに、「いつ行っても釣れる=いつでも同じ釣り方でいい」という誤解も生まれました。実際には季節ごとに水深が数十メートル単位で動くため、同じ40号でも落とす棚も誘いも別物になります。古い攻略記事の数字をそのまま持ち込むと、水深違いで底が取れない、あるいは軽すぎて流されるという形で失敗が表面化します。
湾奥から湾口へ、季節でポイントは南北に動く
季節で見るなら、6〜8月の初夏から盛夏は湾奥寄りの浅場、9〜2月は湾口・湾外寄りの深場が中心という動き方になります。水温が高い時期は餌となる小魚が浅場に集まり、タチウオもそれを追って浅い層まで上がってきます。水温が下がると群れは深場へシフトし、釣り座から見た水深はじわじわ深くなっていきます。タチウオが活発に動くのは水温18℃以上が目安で、この温度帯を追いかけると魚の居場所がある程度読めます。
実は、この移動の「不明瞭化」こそが近年の東京湾らしさです。東京湾の冬季最低水温は過去30年で1℃近く上昇したとされ、かつてはっきりしていた越冬のための移動が読みにくくなりました。結果として、真冬に湾中央部で船が出ることも、真夏に湾奥の浅場で数が伸びることも起こります。判断のコツは、月ではなく水深と水温で考えることです。予約時に「今どのあたりの水深を狙っていますか」と一言確認するだけで、持っていくオモリの号数の幅が決まります。
6〜9月の「夏タチ」が数釣りのチャンス
数を釣りたい人にとっての本命は、6〜9月の高水温期です。この時期は「夏タチ」と呼ばれ、数が釣れる好機とされています(つりびとオンライン・テンビンタチウオ入門)。旬という意味では7〜10月が夏から秋のハイシーズンで、サイズよりも手数が出やすいのが特徴です。一方で冬から春にかけても釣果はあり、こちらは数より型を狙う釣りになりやすい傾向があります。
初心者がやりがちなのは、テレビや動画で見た指5本級の大型を期待して真夏に出かけ、60cm前後の中型が続くことにがっかりするパターンです。東京湾で釣れるタチウオは30〜120cmと幅があり、実際の釣獲サイズは60〜118cm程度。夏は「数が出る時期」、冬は「型を狙う時期」と割り切ると、当日の満足度が変わります。どちらの季節でも、船宿がその日の狙いを事前に案内しているので、予約時の説明を素直に受け取るのが近道です。
| 項目 | 初夏〜盛夏(6〜8月) | 秋〜冬(9〜2月) |
|---|---|---|
| 中心エリア | 湾奥寄りの浅場 | 湾口・湾外寄りの深場 |
| 釣りやすさ | 「夏タチ」で数が出やすい | 数は落ち着き型狙いになりやすい |
| 水深の目安 | 浅場中心。棚は上ずりやすい | 50〜100mの深場まで下がる |
| 注意点 | 暑さ対策と氷の量 | 防寒と、深場での底取り |
船と堤防、最初の1本はどちらで狙うべきか
水深50〜100mは船でしか届かない
タチウオを確実に手にしたいなら、最初の1回は船が有利です。東京湾中央部のタチウオは水深50〜100mに着くことが多く、テンビン釣りの主要ポイントも50〜80m前後。この水深は岸からは物理的に届きません。船なら魚探で群れを探し、船長が棚をアナウンスしてくれるため、「魚がいる場所に仕掛けを落とす」という最初の難関を丸ごと外注できます。
逆に堤防は、魚が岸近くに寄ってくるタイミングを待つ釣りです。回遊が当たれば短時間で釣れますが、当たらなければ何時間投げても反応がありません。この差は釣り方の優劣ではなく、確率の管理の違いです。初めての一尾を目標にするなら船、通いながら地元の回遊パターンを覚えたいなら堤防、と目的で切り分けるのが現実的です。船に乗る前に沖釣り全体の流れをつかんでおくと、当日の動きが読めます。
堤防が成立するのは夜と朝夕のわずかな時間
堤防のタチウオは、基本的に暗い時間帯の釣りです。電気ウキを使ったウキ釣りは夜間に有効で、ワインド釣法は朝夕の薄暗い時間帯に効果的とされています(TSURI HACK)。日中に堤防で粘るより、日没前後の2〜3時間に集中したほうが結果は出やすい構造になっています。
やりがちな失敗は、明るいうちに場所に入って体力を使い切り、いちばんいい時間帯に集中力が切れているパターンです。夜釣りは足元が見えず、堤防の際は思っている以上に危険なので、ヘッドライトとライフジャケットは明るいうちに装着しておきます。そして大前提として、その堤防が釣り可能かどうかを現地の掲示で必ず確認してください。東京湾岸は釣り禁止・立入禁止のエリアが多く、公式の案内がないまま「有名ポイント」として紹介されている場所も少なくありません。
タイプ別・最初の1回の選び方
読者のタイプ別に整理すると選びやすくなります。とにかく一尾を釣りたい人は、道具レンタルのある乗合船でテンビン。仕掛けとエサが当日そろい、棚も指示されるので、初回の成功率がいちばん高い選択です。近場で回数を重ねたい人は堤防の電気ウキ。磯竿1.5〜3号とスピニングリール3000〜4000番、ナイロン3号があれば始められ、他の釣りとも道具を共用できます。
ルアーで遊びたい人はワインドかメタルジグ。PE1号前後のライトなタックルでダートアクションを出す釣りは、掛けた瞬間の面白さが際立ちます。家族連れなら、投げて待つ形になるウキ釣りが向きます。判断の注意点は、どのタイプでも歯対策のワイヤーリーダーだけは省略しないこと。ここを省くと、当たっても取り込めない一日になります。
テンビン=オモリと道糸・仕掛けを分けるL字型の金具。約30cmの腕で仕掛けの絡みを防ぐ。テンヤ=オモリと針が一体になった仕掛けで、活きエサをワイヤーで縛って使う。ワインド=ジグヘッドとワームでジグザグのダートアクションを演出するルアー釣法。
テンビンとテンヤ、仕掛けの中身はここが違う

テンビンは約30cmの腕とオモリ40〜60号の吹き流し
東京湾でもっともポピュラーな船の釣り方が、テンビンオモリの吹き流し仕掛けにサバやコノシロの切り身エサを使う通称「テンビンタチウオ」です。構成は、約30cmのテンビンにオモリ40〜60号(東京湾の標準は40号)、道糸はPE1.5号程度、ハリスはフロロカーボン6号。船宿でエサが用意されることが多く、初日から迷いなく組める点が強みです。
この釣りが数を伸ばしやすいのは、仕掛けが長く、シャクリのテンポが合うと連発しやすい構造だからです。誘いは投げて引くか、竿を上下させて切り身を泳がせるイメージ。深場では潮の抵抗でオモリが浮き上がるため、指定より軽いオモリを使うと隣の人とオマツリします。号数は必ず船宿の指定に従ってください。指定がある釣りものでは、それが安全と釣果の両方を守るルールになっています。

テンヤは30・40・50号に活きエサを縛る釣り
テンヤは、オモリと針が一体化した専用仕掛けに活きイワシや活きコハダを縛りつけて誘う釣り方です。重さは30号・40号・50号がメインで、東京湾では40号が標準。60号は作っているメーカーが少なく貴重とされています(釣りソク)。針は1本針または2本針、道糸はPE2号以下、リーダーはフロロカーボン8号が目安です。エサは船宿で活きイワシが10尾程度付くのが一般的で、ドジョウやキビナゴを使う船もあります。
テンビンより上級者向けとされる理由は、竿の上下動でテンヤ自体にアクションを付け、わずかな重みの変化でアタリを取る必要があるからです。エサをきれいに縛れないと動きが不自然になり、食っても針掛かりしません。逆に言えば、そこが決まったときの掛けた感覚は明確で、リピーターが多い釣り方でもあります。船内で重さを統一するのがセオリーなので、準備の前に必ず船宿へ号数を確認します。
PEの太さが「船宿で厳密に管理される」理由
テンヤ船ではPE2号以下と道糸の太さまで決められていることがあります。理由は単純で、太い糸は潮を受けて仕掛けが流され、隣の釣り座とラインが交差するからです。深場ほど影響は大きく、1人だけ太い糸を使うと船の片舷全体がオマツリして、実釣時間が削られます。号数統一は釣果の問題ではなく、乗合という共同作業のルールです。
初心者にありがちなのは、手持ちのショアジギング用リールにPE2号以上が巻いてある状態で乗ってしまうケースです。当日「その糸では出せません」と言われても対応できないため、予約時に道糸の号数まで聞き、足りなければ巻き替えるかレンタルタックルを申し込みます。オモリの号数指定も同じで、指定外を持ち込むと使えません。準備段階で確認すべき項目は、オモリ(またはテンヤ)の号数・道糸の上限・エサの有無の3点です。
| 項目 | テンビン仕掛け | テンヤ仕掛け |
|---|---|---|
| オモリ・重さ | 40〜60号(標準40号) | 30・40・50号(標準40号) |
| 道糸・リーダー | PE1.5号程度/フロロ6号 | PE2号以下/フロロ8号 |
| エサ | サバ・コノシロの切り身 | 活きイワシ・活きコハダ、ドジョウ等 |
| 向いている人 | 初めての船。数を釣りたい人 | 細かいアタリを掛けにいきたい人 |
迷ったらテンビン、が現実的な答え
どちらから始めるか迷ったら、テンビンを選んでおけば大きく外しません。ビギナー向けとされる理由は、仕掛けの構造が単純で、エサが切り身なので扱いやすく、誘いのテンポさえ合えば連発するからです。テンヤの活きエサは弱りやすく、付け替えの手際が悪いと手返しがそのまま落ちます。
船によっては天秤とテンヤが同じ船に乗り合わせることもあります。その場合でも自分の釣り方を途中で変えるより、1日は一つの釣法をやり切ったほうが上達します。判断のコツは、初日の目標を「型を見る」に置くこと。数や大きさを目標にすると、うまくいかない時間帯に釣り方を変えてしまい、どちらも中途半端になります。両方の道具をそろえるのは、2回目以降で構いません。
乗合船の料金・予約・持ち物のリアル
公開されている料金の実例で相場をつかむ
東京湾のタチウオ乗合の料金は、船宿が公式サイトで公開しています。ある船宿の料金表では、天秤・テンヤ同船の全日船が9,500円(餌1パック・氷1つ付)、午前の半日船が6,800円(餌・氷1つ付)です(公開料金表の一例)。別の船宿では、短時間のショート船が9,000円(切り身・氷付き)という設定になっています。餌と氷が料金に含まれるかどうかで実質負担が変わるので、金額だけでなく「何が付くか」を並べて比べてください。
この3つを並べると、半日・ショート・全日の順に価格が上がる構造が見えます。学生割引や女性割引を設けている船宿もありますが、割引の有無や条件は船宿ごとに違うため、予約時の確認が必要です。ここで挙げた金額はあくまで公開情報の一例で、東京湾のすべての船に当てはまる相場表ではありません。特定の船宿を勧める趣旨でもないので、実際の予約では自分の出発地・釣法・時間帯から選び、料金は必ず公式ページで確認してください。
乗り場は港。駐車場と集合時間を先に確認する
予約より先に決まってしまうのが、乗り場までの移動です。東京湾の遊漁船は複数の港に分かれており、久里浜港のように東京湾中央部から湾口へのアクセスに優れた拠点もあります。有料駐車場が整備され、周辺にトイレやコンビニがある港なら、前日入りや早朝到着でも動きやすくなります。
| 住所 | 〒239-0831 神奈川県横須賀市久里浜8-17-20 |
| 営業時間 | 早朝~午後(各船宿の出船時刻に準じる) |
| アクセス | 京急「京急久里浜駅」下車、港まで約2.1km、タクシーで約8分 または 京急バス「久7」で約10分(280円)。JR「久里浜駅」からも同様アクセス可能 |
| 駐車場 | 有料駐車場100台。1日1,000円。花の国第2駐車場600円(徒歩5~6分)。タイムズ久里浜第6は24時間営業、最大料金880円 |
| 公式サイト | 公式サイト |
失敗しやすいのは、集合時刻ではなく出船時刻に合わせて到着してしまうケースです。乗合船は受付・支払い・釣り座決めがあるため、出船よりかなり前に集合します。全日船なら早朝に出船して昼過ぎに帰港、半日船なら午前中で終了という組み立てが一般的で、帰りの予定は余裕を持って組んでおくと安心です。駐車場の場所と料金、集合時刻、支払い方法(現金かカードか)の3点は、予約の電話で一度に確認してしまいましょう。
ライフジャケットは桜マーク。着用は船長の義務でもある
船釣りで唯一妥協できないのがライフジャケットです。国土交通省は原則としてすべての小型船舶乗船者に着用を義務化しており、船長に対しても原則として「船室外のすべての乗船者」に着用させることを義務づけています。違反すると船長に違反点数2点が付され、再教育講習の受講が必要になります(国土交通省・ライフジャケットの着用義務拡大)。
ここで重要なのが桜マークです。桜マークは国の型式承認試験および検定に合格した印で、これが付いていない製品では着用義務を満たしません(国土交通省・ライフジャケットの種類と特徴)。ネット通販の安価なベストには桜マークがない製品も混じっているため、購入前にタイプ表示とマークを確認してください。船宿の貸し出しを使う場合も、自分の体格に合ったサイズを選び、ベルトを締めてから乗船します。

| 料金の実例 | 全日9,500円/半日6,800円/ショート9,000円(いずれも餌・氷付き。船宿により異なる) |
| 1日の流れ | 受付・支払い → 釣り座決め → 早朝出船 → 昼前後に帰港(全日船の場合) |
| 確認する3点 | オモリ・テンヤの号数指定/道糸の号数上限/エサとレンタルの有無 |
| 必ず要る装備 | 桜マーク付きライフジャケット、氷を入れるクーラー、フィッシュグリップ、プライヤー |
堤防で組める3つの釣り方と、必ず要る30cmの保険
電気ウキ釣りは投げて待つだけで成立する
堤防でもっとも入りやすいのが、電気ウキを使ったウキ釣りです。もっともポピュラーなタチウオ釣りの一つで、初心者向けとされています。タックルは磯竿1.5〜3号、スピニングリール3000〜4000番、道糸はナイロン3号。エサは活きコハダや活きイワシを使い、電気ウキの明かりで夜間のアタリを目で確認します。
この釣りの強みは、投げて待つだけで成立するため、子ども連れでも組み立てやすいことです。逆に弱点は、タナ(ウキ下)が合わないと延々と空振りする点。タチウオは表層近くまで浮くこともあれば底付近に沈むこともあるため、30分ほど反応がなければウキ下を1mずつ変えて探ります。周囲で釣れているのに自分だけ釣れないときは、たいていタナか、後述するリーダーのどちらかが原因です。
ワインドとルアーはPEの号数から違う
ルアーで狙うなら、ワインドと一般的なルアー釣りの2択です。ワインドはジグヘッドとワームを組み合わせてダートアクション(ジグザグの動き)を演出する釣法で、朝夕の薄暗い時間帯に効果的、道糸はPE1号程度が目安。メタルジグ・ミノー・バイブレーションを使う通常のルアー釣りでは、PE1.5〜2号程度と少し太めを使います。
号数が違う理由は、扱うルアーの重さと、掛けた後のやり取りの想定が違うからです。軽いジグヘッドを細かく跳ねさせるワインドは、細いラインのほうが操作性が上がります。一方、重いメタルジグを投げるならラインへの負荷が増えるため太くします。手持ちのシーバスタックルやショアジギングタックルを流用する人が多い釣りですが、流用するときはリールに巻いてあるPEの号数を確認してから釣り方を決めると、無駄な買い足しが減ります。

ワイヤーリーダー30cmを省くと一日が終わる
釣り方が何であれ、タチウオ狙いで省略できないのがワイヤーリーダーです。タチウオは非常に鋭い歯を持っているため、30cm程度のワイヤーリーダーを使う必要があるとされています(TSURI HACK・タチウオの釣り方)。歯は釣り上げた後も危険で、素手で口元を触ると簡単に切れます。
よくある失敗が、フロロカーボンのリーダーだけで挑んで、掛けた直後に高切れするパターンです。しかも切られるとルアーやジグヘッドごと失うため、時合いのど真ん中で仕掛けの組み直しに時間を取られます。反応が出ている10分を失うのは、その日の釣果を半減させる打撃です。対策は単純で、必ずワイヤーを介すこと。ワイヤーを嫌って食いが落ちると感じる場面もありますが、獲れずに切られるよりは確実です。
ワイヤーリーダーを省いて糸を切られる → ルアー・仕掛けの紛失と組み直しで時合いを逃す。原因は「歯の鋭さを軽く見ること」。対策は30cm程度のワイヤーを標準装備にし、予備を2本ポーチに入れておくことです。
| 釣り方 | 道糸 | リーダー・ハリス | オモリ・ルアー | エサ |
|---|---|---|---|---|
| 船・テンビン | PE1.5号程度 | フロロ6号 | オモリ40〜60号(標準40号) | サバ・コノシロの切り身 |
| 船・テンヤ | PE2号以下 | フロロ8号 | テンヤ30・40・50号 | 活きイワシ・活きコハダ等 |
| 堤防・電気ウキ | ナイロン3号 | ワイヤー30cm程度 | 電気ウキ+磯竿1.5〜3号 | 活きコハダ・活きイワシ |
| 堤防・ワインド | PE1号程度 | ワイヤー30cm程度 | ジグヘッド+ワーム | 不要(ルアー) |
| 堤防・ルアー | PE1.5〜2号程度 | ワイヤー30cm程度 | メタルジグ・ミノー・バイブ | 不要(ルアー) |
東京湾太刀魚のアタリが出ない日に見直す3つのこと
切り身は回転させない。縫い刺しで真っすぐに
アタリが遠い日、まず疑うのはエサの付け方です。エサは回転せずまっすぐになるように付けることが基本で、短冊状のサバやコノシロの切り身の中心に針が通るようにし、縫い刺しで固定します(つりびとオンライン)。中心からずれた刺し方をすると、引いたときに切り身がクルクル回り、魚から見て不自然な動きになります。
初心者に多いのは、急いで針を1回だけ刺して落としてしまうパターンです。海中での回転は手元では分からないため、「反応がない=魚がいない」と誤解したまま同じ付け方を続けてしまいます。判断のコツは、回収のたびにエサの向きと形を確認すること。ヨレていたり皮がめくれていたら、その一投は回っていた可能性が高いと考えます。付け直しに10秒かけるほうが、そのまま落とすより結果的に手返しは良くなります。
誘いは「動かす・止める」の繰り返しで決まる
タチウオは動いているものに反応し、止まった瞬間に食ってくる魚です。テンビンなら竿を上下させて切り身を泳がせ、テンヤなら竿の上下動でテンヤ自体にアクションを付けます。どちらも動かしっぱなしにせず、誘いのあとに一拍止める間を作ることが重要です。この止めの時間に重みが乗ったり、穂先が押さえ込まれたりします。
シャクリのテンポが合うと連発ヒットにつながるのがテンビンの特徴なので、釣れた人の動きを観察して、間隔や振り幅を真似るのが最短ルートです。周囲で釣れているのに自分だけ沈黙しているときは、テンポが速すぎるか、誘い上げる幅が大きすぎることが多くあります。反応がある層は狭いことがあるため、大きく探るより、当たった棚の前後を丁寧に刻むほうが有効です。
棚は自分で決めず、船長のアナウンスに合わせる
船釣りで最大の情報源は魚探を見ている船長です。「40mから50m」といった指示があれば、その範囲を誘い上げるのが基本で、自作の作戦を優先しても釣果は伸びません。群れは潮とベイトの動きで刻々と上下するため、指示棚は当日その瞬間の答えとして出されています。
ありがちなのは、前回釣れた深さの記憶にこだわって指示を無視するケースです。季節が変われば湾奥と湾口で水深帯そのものが変わり、去年の数字は参考になりません。また、指示より下まで落とすと根掛かりやオマツリの原因になります。カウンター付きリールを使うか、道糸のマーカーで正確に棚を取り、指示が変わったらすぐ合わせる。この素直さが、東京湾のタチウオ釣りでは実力差以上に釣果を分けます。
歯・血抜き・アニサキス。釣った後にやることの順番
取り込みは口元に手を近づけないのが鉄則
タチウオは銀色に光る体と非常に鋭い歯を持つ魚です。抜き上げた直後は激しく暴れ、細長い体がラインに絡むため、素手で押さえにいくと歯や仕掛けの針で手を切ります。フィッシュグリップで頭部を固定し、プライヤーで針を外すのが基本手順です。船上ではタオルを一枚かぶせて動きを抑えると作業が安定します。
やりがちなのは、写真を撮ろうとして手で口の近くを持つ場面です。生きた個体は瞬間的に頭を振るため、この持ち方は避けます。子どもと一緒に釣る場合は、取り込みと針外しは必ず大人が担当してください。堤防で足元に置いたタチウオを踏んで転倒する事故もあるので、外した魚はすぐクーラーへ入れ、通路に転がしたままにしないことも安全上のポイントです。
血抜きと氷締めで持ち帰りの質が決まる
タチウオは身が柔らかく、処理の差がそのまま食味に出ます。釣ったらエラや尾の付け根に刃を入れて血を抜き、海水を張った氷の中で締めるのが基本です。船宿で氷が付いてくることが多いのは、この工程が前提になっているからです。クーラーに入れる際は、体の長さに合わせて曲げて入れるか、大型はサイズに合うクーラーを用意します。
失敗しやすいのは、氷だけを入れたクーラーに魚を直接乗せてしまうパターンです。身の一部だけが凍って変色し、冷え方も不均一になります。海水と氷を合わせた冷たい海水で全体を均一に冷やすほうが仕上がりは安定します。また、内臓の処理は早いほど良いとされます。アニサキスは内臓にいることが多く、死後に身のほうへ移動するため、持ち帰る前に内臓を抜けるなら抜いておくのが安全側の選択です。
アニサキス対策は「-20℃24時間」か「加熱」の二択
厚生労働省は、アニサキスによる食中毒の予防として「-20℃で24時間以上冷凍」または「70℃以上、または60℃なら1分」の加熱を示しています。あわせて、一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けてもアニサキス幼虫は死滅しないと明記されています(厚生労働省・アニサキスによる食中毒を予防しましょう)。予防のポイントは①鮮度、②目視、③冷凍または加熱の3つです。
タチウオは皮に毒を持つ魚ではありませんが、鮮度が落ちた個体ではヒスタミンによる食中毒のリスクも指摘されています。「釣った当日なら大丈夫」といった自己判断はせず、生食を選ぶかどうかは公的機関の情報に沿って考えてください。体調に不安が出た場合は医療機関へ相談するのが原則です。当サイトでは可食可否の断定はしません。判断に迷う場合は、加熱して食べるという安全側の選択があることを覚えておいてください。
ルールを知らずに拾わない・獲らない
釣りの周辺で起きるトラブルの多くは、魚以外の生き物に手を出したときに起こります。神奈川県は、アワビ、ナマコ、シラスウナギ(13cm以下)の採捕を禁止しており、違反すると3年以下の拘禁刑または高額な罰金が科されると案内しています。食用かどうか、流通しているかどうかを問わず、すべての種類のナマコが対象です(神奈川県・海のルールを守りましょう)。
船釣りにも細かい決まりがあります。まき餌かごは外径5.5cm以下、まき餌を収納する部分の長さ16cm以下、1仕掛けにつき1個までと定められ、定置網周辺の保護区域では船の係留や釣りが禁止されています(神奈川県・船釣りのルールを守りましょう)。タチウオ釣りでコマセを使う場面は多くありませんが、同じ船で別の釣りものに乗るときには直接関わります。東京湾は都県をまたぐ海なので、出船する港の県のルールを事前に読んでおくと安心です。
まとめ:通年化した釣りものを、号数と作法で攻略する
東京湾のタチウオは、かつてのように冬で終わる釣りではなくなりました。だからこそ、行く時期ではなく「その日の水深と号数」を合わせられるかが釣果を分けます。最初の一歩としておすすめしたいのは、乗合船に電話して「今はどの水深を狙っていますか」「オモリと道糸の指定は何号ですか」と聞くことです。この2つの答えが分かれば、当日持っていく道具はほぼ確定します。あとは桜マーク付きのライフジャケットを用意し、クーラーに氷を入れて港へ向かうだけです。
釣り場のルール、船宿の料金や出船時間、遊漁の規制は変更されることがあります。出かける前に、船宿の公式ページと各都県の水産担当部署の案内で最新の情報を確認してください。

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