釣具店のウキ売り場で「0」「G2」「3B」「1号」と並んだ表示を見て、どれを買えばいいのか手が止まった経験はないでしょうか。表示の意味がわからないまま「とりあえず真ん中くらい」で選ぶと、仕掛けが沈みっぱなしになったり、ウキだけが浮いてエサがタナに入らなかったりします。
結論を先に言うと、ウキの浮力表示は「そのウキが背負えるオモリの重さ」を表しているだけです。だから読み方は、0系・G系・B系・号の4系統と、1号=3.75gという換算の基本さえ押さえれば足ります。あとは水深とタナに合わせて数字を選び、ガン玉で微調整する。この順番で考えると、売り場で迷う時間はほぼなくなります。
この記事では、浮力表示の意味と系統別の読み方、メーカー公式のサイズ一覧から作ったグラム換算表、水深別の浮力の決め方、喫水線(ゼロ点)を基準にした調整の考え方までを、一次情報の数値つきで整理します。「2BはB2個ではない」といった、換算表を読み違えたまま使い続けている人が多いポイントも一緒に押さえていきましょう。
この記事でわかること
・0・G・B・号の4系統が示している中身と、数字の増減の向き
・メーカー公式サイズ一覧に基づくガン玉・オモリのグラム換算表
・水深2〜6m/7〜10m/10m以上でどの浮力を選ぶかの目安
・喫水線を基準にしたガン玉調整の手順と、初心者がつまずく2つの失敗
ウキ浮力表の読み方は「0・G・B・号」の4系統だけで足りる

浮力表示は一見すると記号の羅列ですが、並び順に意味があります。感度が高い順に000・00・0、次にG系、その上にB系、いちばん重い側に号数が来る。この一本の軸を頭に入れておくと、初めて見るメーカーのウキでも位置関係で判断できます。
浮力表示は「背負えるオモリの重さ」を書いてある
ウキに書かれた「3B」は、3Bのガン玉、またはマイナス3Bの水中ウキを付けたときに、そのウキの性能がいちばん発揮される状態を示す表示です。釣研の解説では、浮力(オモリ負荷)を「そのウキがどれくらいのオモリを使用できるのかを表示したもの」と定義しています。
つまり浮力表示は、ウキの浮く力の強さそのものというより、釣り人が組む仕掛けの重さの指定書に近いものです。3Bのウキを買ったなら、仕掛け側にも3B相当の重さを持たせて初めて設計どおりに立つ。ここを「浮力が強いほど良く見える」と誤解すると、軽い仕掛けに重い浮力のウキを合わせてしまい、ウキが水面から出過ぎて感度が落ちます。
売り場で迷ったら、「このウキは何gのオモリを背負う前提か」と読み替えるのが第一歩です。釣研の公式解説ページでは、浮力のウキは同じ号数のマイナス浮力の水中ウキとセットで使うことが基本とされています。ウキ単体ではなく、仕掛け全体の重量バランスで考える視点を先に持ちましょう。
GとBは数字の向きが逆になる
読み違いが起きやすいのがG系とB系の関係です。B系は数字が大きいほど重く(大きく)なり、B<2B<3B<4B<5Bの順に増えていきます。一方のG系は数字が大きいほど軽く(小さく)なり、G1>G2>G3>G4>G5の順に軽くなる。同じ「数字が大きい」でも意味が反転します。
この向きの違いは、B系がバックショット由来のサイズ表記、G系がジンタン(極小の玉)の号数表記という別々の体系から来ているためです。ヤマワ産業の公式サイズ一覧でも、ガン玉はG系を「5号・4号・3号・2号・1号」、B系を「B・2B・3B・4B・5B」と並べ、5号が0.10g、5Bが1.65gと、両端で16倍以上の差があります。
現場でよくある失敗が、「G2を足そう」と思ってG5を打ってしまうパターンです。狙いは0.23gの追加だったのに0.10gしか乗らず、ウキが想定より浮いたままでアタリが出ない。G系の袋を開けるときは、数字が小さいほど重い、と一度口に出して確認してから摘まむと間違えにくくなります。
ガン玉=糸に噛ませて使う球形の小型オモリ。B系(B・2B・3B…)とG系(G1・G2・G3…、ジンタンとも呼ぶ)の2系統があり、B系は数字が大きいほど重く、G系は数字が大きいほど軽い。ウキの浮力表示は、このガン玉の呼び名をそのまま流用している。
「号」は1号3.75gの尺貫法が土台になっている
B系・G系より重い領域に入ると、表示は「0.8号」「1号」「2号」と号数に切り替わります。この号は尺貫法の1匁(もんめ)が由来で、1号=3.75g。海釣り道場のタックル解説でも「1号は3.75グラム、昔の尺貫法の1匁(もんめ)です」と説明されています。
3.75gを起点に十進法で掛け算すればいいので、2号=7.5g、3号=11.25g、4号=15gと暗算できます。ヤマワ産業のラウンドタイプシンカー公式一覧も、1号3.75g、2号7.50g、3号11.25g、4号15.00gと、この換算どおりの実数を公開しています。号数の世界に入ったら、記号ではなく重さで考えられるようになるわけです。
注意したいのは、B系・G系と号の間にある0.8号(3.00g)のような中間サイズです。5Bが1.65gですから、5Bから0.8号へ上げるだけで重さは倍近くになります。「ひとつ上げるだけ」の感覚で号数に踏み込むと、仕掛けの入り方が別物になるので、間の刻みが必要なときはガン玉の追加で埋めるほうが扱いやすくなります。
0・00・000は「沈める前提」の表示だと理解する
0より下の表示は、浮かせるためではなく沈めるための番手です。0は実用上いくらか浮力が残っている状態、00は余分な浮力を完全に取り除いた状態、000はエサの重さだけでも沈んでいく高感度な設定、という位置づけになります。
この領域が生まれた理由は、魚がエサをくわえたときの違和感を減らすためです。浮力が残っているウキは、魚が引き込むときに水面へ戻ろうとする力がそのまま抵抗になります。0番手より下は、その抵抗をほぼゼロに近づけて、食い込みの渋い状況でも吐き出されにくくする狙いがあります。
ただし00や000は、潮の流れや風でウキが沈みっぱなしになると、道糸の張りだけでアタリを取ることになります。ウキが見えない状態で釣るので、最初の1本には向きません。まずは0やBのように水面で見える番手で「浮力とオモリが釣り合った状態」を体感してから、感度を詰める方向へ進むのが遠回りに見えて確実です。
メーカー公式値で作るガン玉・オモリのグラム換算表
浮力表示を実際の重さに変換できると、仕掛けの設計が一気に具体的になります。ここでは公式のサイズ一覧を公開しているメーカーの実数を使って、換算表を組み立てます。数値は海釣りの教科書がヤマワ産業の公式サイズ一覧PDFから転記したものです。
公式サイズ一覧から起こしたガン玉の重さ
| 表記 | 重さ | 直径 | 主な使いどころ |
|---|---|---|---|
| G5(5号) | 0.10g | 2.80mm | 仕上げの微調整 |
| G3(3号) | 0.18g | 3.60mm | 余浮力の打ち消し |
| G2(2号) | 0.23g | 4.00mm | 浅場の軽い仕掛け |
| B | 0.45g | 5.00mm | タナ5m以内の基準 |
| 2B | 0.60g | 5.60mm | 中層のタナ取り |
| 3B | 0.78g | 6.00mm | 汎用の1本目 |
| 4B | 1.30g | 6.60mm | 深いタナへの入れ込み |
| 5B | 1.65g | 7.20mm | 流れの速い場所 |
この表の使い方はシンプルです。手持ちのウキが「3B」なら、仕掛け全体で0.78g前後を背負わせればゼロバランスに近づく。0.78gの内訳は3Bひとつでも、2B(0.60g)+G2(0.23g)でも構いません。重さの合計で考えられるようになると、手持ちのガン玉だけで幅広い浮力に対応できます。
直径の欄も見ておく価値があります。同じ0.78gでも、3Bをひとつ打つのと小さい玉を複数打つのでは、ハリスの糸鳴りや絡みの出方が変わるためです。ヤマワ産業の一覧では、重さは平均値であること、サイズ表記はミリメートルであることが明記されています。
号数側のオモリも同じ考え方で並びます。0.3号1.30g、0.5号1.87g、0.8号3.00g、1号3.75g、1.5号5.62g、2号7.50gと続き、10号は37.50g。号数とグラムの対応は別記事でも詳しく整理しています。

「2B=B2個」で計算すると必ずズレる
B系の表記は等差で増えないため、「2B=B+B」という足し算は成立しません。公式値ではB=0.45g、2B=0.60gなので、Bを2つ打つと0.90gになり、2Bより0.30g重くなります。ガン玉の解説でも「2B」=「B」+「G3」/「2B」≠「B」+「B」と整理されています。
この誤解が厄介なのは、ズレが小さくて気づきにくいところです。0.30gの過剰は、ウキがゆっくり沈む程度の差にしか見えません。しかし狙いのタナで止まらず、仕掛けが底へ入り続けて根掛かりが増える、エサが先に沈んでコマセと同調しない、といった形で結果に出ます。
原因は、B系の表記がもともと重さの等差ではなく玉のサイズの呼び名だからです。だからB+G3で2B相当、というように、足りない分は小さいG系で埋めるのが正しい組み方になります。手持ちに2Bがないとき、Bを2つ打つ前に「合計で何gになるか」を換算表で確かめる癖をつけましょう。
判断のコツは、換算表を財布に入るサイズで印刷するか、スマホに保存して現場で開くことです。暗算に頼ると、B系とG系が混ざった瞬間に合計を見失います。
実は「B」の重さはメーカー共通の規格ではない
意外と知られていませんが、ガン玉の重さは業界統一規格ではありません。今回参照した公式一覧ではB=0.45gですが、一般に流通する換算表ではB=0.55g、2B=0.85g、3B=1.0gと記載されているものもあります。同じ「B」でも0.1g前後の幅があるということです。
0.1gは小さく見えますが、G系のガン玉1個ぶんに相当します。喫水線ぎりぎりで調整している場面では、この差がウキの立ち方を変えます。メーカーをまたいで買い足すと、同じ表記なのに前回と同じ位置に立たない、という現象が起きるのはこのためです。
対策は単純で、ガン玉はメーカーを統一して揃えること。公式一覧を公開しているメーカーでも「重さは平均値」と但し書きがあり、個体差はゼロではありません。1つのケースに複数メーカーを混ぜると、どの玉が何gなのか追えなくなります。
浮力表を「業界共通の物差し」ではなく「自分のタックルの中での相対的な目盛り」として扱う。これが数字に振り回されないための現実的な構えです。
浮力とオモリを同じ号数で合わせるのはなぜか

ウキ選びの基本ルールは「オモリと同じ号数を選ぶ」に集約されます。ただ丸暗記するより、なぜ釣り合わせるのかを理解しておくと、状況に応じて崩す判断もできるようになります。
2Bのウキには2Bのオモリでゼロバランスに近づく
基本は、Bのオモリを扱うならB表示のウキ、3Bのオモリを扱うなら3B表示のウキです。2Bのウキに2Bのオモリを背負わせると浮力が釣り合い、ウキは海面にやや浮いた状態で安定します。この「やや浮いた」状態が、アタリを目で捉えられる最小限の余裕になります。
なぜ釣り合いを狙うかというと、余った浮力はそのまま魚が感じる抵抗になるからです。浮力が過剰なウキは、魚が引き込んだ瞬間に水面へ戻ろうと反発します。逆に浮力が足りなければ沈んでしまい、アタリも視認できません。釣り合いの一点に近づけるほど、魚は違和感なくエサを持っていきます。
具体例として、堤防で3Bのウキを使いながらガン玉をBひとつしか打っていない場合、差は0.33g前後。この状態ではウキが高く浮き、風で流されやすく、エサはタナまで届きません。表示と実際の負荷を一致させるだけで、仕掛けの入り方は素直になります。
ウキの浮力表示は「上限」ではなく「設計値」。表示どおりの重さを背負わせたときにいちばん素直に立ち、余っても足りなくても釣りづらくなる。まずは表示と同じ号数のガン玉を用意することが、浮力表を使いこなす最短ルートになります。
号数を外すと現場で何が起きるか
オモリに対してウキの号数が小さいと、魚がかかる前からウキが水中に沈んでしまいます。これは仕掛けの重さがウキの浮力を上回っている状態で、いくら待ってもアタリの判別はできません。「今日は食いが渋い」と思っていた原因が、実は号数の不一致だったというケースは少なくありません。
反対にウキの号数が大きすぎると、水面に浮きすぎて風の影響を受け、仕掛けが手前に寄ってきます。エサが狙ったタナを通らないので、コマセを撒いた場所とエサの位置がずれていく。どちらも「魚がいない」ではなく「仕掛けが機能していない」状態です。
見極め方は、投入直後にウキがどう安定するかを観察することです。着水後にじわじわ沈み続けるなら重すぎ、トップが高く出たまま風で走るなら軽すぎ。3投ほど見て判断すれば、調整するべき方向はすぐ決まります。
水中ウキという「マイナス側」の選択肢
ガン玉で背負わせる代わりに、マイナス浮力の水中ウキを使う方法もあります。3B表示のウキなら、マイナス3Bの水中ウキとセットにすると同じ釣り合いが得られます。釣研の公式解説でも、水中ウキとセットで使うことが基本として示されています。
ガン玉との違いは、重さが1点ではなく面で効く点にあります。水中ウキは潮の流れを受けて仕掛け全体を引っ張るため、表層と底で流れの速さが違う状況でも、仕掛けを潮の中に入れたまま流しやすくなります。表層だけが風で滑る日には差が出ます。
ただし、水中ウキを足すと仕掛けの全長が伸び、絡みも起きやすくなります。最初の1セットとしてはガン玉での調整を覚えて、流れの複雑な磯で「エサだけが浮いてしまう」と感じたときに手を出す順番が扱いやすいでしょう。
水深とタナから浮力を逆算する早見表
浮力の数字は、水深と狙うタナで決まります。深いほど重い仕掛けが要るので、必然的に高い浮力のウキになる。逆算の考え方さえ持てば、初めての釣り場でも水深を聞いた時点で番手を絞れます。
浅場(水深2〜6m)は0〜G2、遠投するならB以上
| 条件 | 浅場(2〜6m) | 中深(7〜10m) | 深場(10m以上) |
|---|---|---|---|
| 基本の浮力 | 0号またはG2 | 2B〜5B | 1〜2号 |
| 遠投・風波が強い日 | B以上 | B〜5B号 | 5B〜1号 |
| 狙うタナの目安 | 水深5m以内ならB | タナ5〜8mで2B〜5B | タナ10m以上 |
浅場では、仕掛けを重くする必要がありません。水深2〜6mなら0号やG2で、エサを自然に漂わせるほうが食いは素直です。近距離・浅場(10m以内、水深5m以内)は0号〜G2号、中距離・浅場(20m以内、水深5m以内)はG2号〜B号という整理も公開されています。
ただし、同じ浅場でも遠投が必要な場面では話が変わります。軽いウキは飛距離が出ず、風があると狙った筋に届きません。この場合は浮力B以上を選び、仕掛けの重さで飛ばす。「浅い=軽い」と機械的に決めず、飛距離と風をもう1軸に置くのがコツです。
浅場で起きやすい失敗は、根掛かりを嫌って浮力を上げすぎることです。重い仕掛けは沈下が速く、かえって底の障害物に届いてしまいます。タナを浅く取り直すほうが、根掛かりの回数は減ります。
中深(7〜10m)は2B〜5Bが基準になる
海の深さが7〜8m、魚の釣れるタナが5〜8mという状況では、浮力2B〜5Bが該当します。近距離・中深(10m以内、水深10m以内)ならB〜5B号という目安もあり、この帯がフカセ釣りでいちばん使用頻度の高い領域です。
この水深帯で浮力が要る理由は、エサをタナまで届ける時間の問題です。軽い仕掛けは沈むのに時間がかかり、その間に潮で流されて、コマセを撒いた位置から外れます。2B(0.60g)から5B(1.65g)へ上げれば沈下は速くなりますが、そのぶん自然な落ち方は失われます。
使い分けの判断は、コマセとエサが同じ場所で合っているかどうかです。エサだけが先に沈んで空振りが続くなら軽く、いつまでもタナに届かないなら重く。1段階ずつ、2B→3B→5Bと動かして反応を見ます。仕掛け全体の組み方は次の記事にまとめています。

深場(水深10m以上)は1〜2号の世界
水深が10m以上、釣れるタナが10m以上になると、浮力1〜2号を使います。1号は3.75g、2号は7.5g。B系の1.65g(5B)と比べると倍以上で、仕掛けは明確に「沈める道具」へ性格が変わります。
深いタナを釣るときに軽い仕掛けを使い続けると、エサが底へ届く前に潮に流されて釣りが成立しません。深場用として浮力5B〜1号を使うという整理もあり、5Bと1号の間で刻むのが実際のところです。風波が強い日は、視認性の面でも高い浮力が扱いやすくなります。
気をつけたいのは、深場だからと最初から2号を選ぶ必要はない点です。号数が上がるほど魚が感じる抵抗も増えます。まずは1号で試し、仕掛けが立たない・流されるという症状が出たときに上げるのが順当です。
「ヒロ」で言われたときの換算を持っておく
釣り場では、水深がメートルではなく「2ヒロ」「5ヒロ」と語られることがあります。1ヒロは約1.5mで、両手を左右に広げた長さが由来。人によって幅が変わるため、1ヒロは1.5mで統一されるようになりました。
この換算を持っていると、浮力の目安がそのまま繋がります。0号は浅場(2ヒロまで)で風波が弱い状況、Bは中程度(3〜5ヒロ)で汎用性が高く、1号は深場(5ヒロ以上)や風波が強い状況、という整理があります。2ヒロは3m、5ヒロは7.5m前後と読み替えられます。
ヒロが使われるのは、仕掛けを手で測るときに巻尺より速いからです。竿とリールを持ったまま、道糸を両手で引き出せばおおよその長さが出る。現場の会話を理解するためにも、頭の中に「1ヒロ=1.5m」の定規を1本入れておきましょう。
喫水線を見ないと、浮力の数字は活きない
浮力表を正しく読んでも、ウキが「どこまで沈んだ状態が基準なのか」を知らなければ調整はできません。その基準線が喫水線(ゼロ点)です。
喫水線(ゼロ点)とは何を示す線か
喫水線は、ウキが水に浸かる位置を示す基準線です。表示された残浮力に対応するオモリを装着したとき、ゴム管の下部がこの線に一致するよう設定されている、という考え方で作られています。喫水線表示は業界で先に採用された例があり、精度の目安として使われています。
この線があると、調整のゴールが目で見える形になります。「なんとなく沈めた」ではなく「線に合わせた」と言えるので、次の釣行でも同じ状態を再現できる。再現性があって初めて、浮力の数字を釣果と結びつけて考えられるようになります。
実際の使い方は、まず自宅か釣り場でウキを水に浮かべ、表示どおりのガン玉を打って線の位置を確認するだけです。ここでズレていれば、その差が「そのウキの余浮力」。以降はその差を織り込んで組めば、現場で悩む時間が減ります。
0.24gの差がアタリの出方を変える
微細な重量差、たとえば0.24gがアタリの感知を左右します。G2とBというわずかなガン玉の違いでさえ、渋い状況での釣果を分ける要因になる、と説明されています。公式値で見るとG2は0.23g、Bは0.45gですから、その差は約0.22g。数字にすると小さな差です。
なぜこの程度の差が効くのかというと、ウキが水面から出ている部分の体積が、そのまま魚の感じる抵抗量になるからです。トップが数ミリ余分に出ているだけで、魚が引き込んだときに戻ろうとする力が働く。食い気の立っている魚は関係なく持っていきますが、渋い日はここで吐き出されます。
だからこそ、G系の小さなガン玉を持っておく意味があります。B系だけでは0.45g刻みでしか動かせませんが、G3(0.18g)やG5(0.10g)があれば細かく詰められる。仕上げ用のG系は、ケースの片隅に必ず入れておきたい存在です。
同じ「3B」でも、ウキが変われば調整量が変わる
喫水線が正確でないウキを混ぜて使うと、同じ浮力表示でもウキごとに必要な調整オモリが異なり、一貫性のある攻めができなくなります。前回3B+G3で決まったから今日も同じ、と考えて別のウキに同じ組み方をすると、立ち方が変わって同じ釣りにならないのはこのためです。
この現象の背景には余浮力(残浮力)があります。多くのウキは表示された浮力に加えて余分な浮力を持っており、あるメーカーでは余浮力をG3=0.25gに設定していると公表しています。この場合「3B」と表示されたウキの実際の浮力は3B+G3になります。
つまり、表示どおりのガン玉を打っただけでは、まだ0.25gぶん浮いている。この余浮力は塩分濃度や潮の状態で仕掛けが不用意に沈まないようにする安全マージンでもあるので、悪い設計ではありません。存在を知らずに「表示どおりなのに沈まない」と悩むことが問題なのです。
対策は2つあります。1つは、ウキごとに余浮力を打ち消すG系の量をメモしておくこと。もう1つは、同じシリーズで浮力違いを揃えて、癖を1つに統一することです。数字の裏に個体の癖がある前提で付き合えば、浮力表は現場で機能する道具になります。
ガン玉調整は「4BとB」の2種類から始める
浮力の理屈がわかったら、次は手を動かす番です。調整に使うガン玉は、最初から何種類も揃える必要はありません。
初心者が最初に買う2種類
ガン玉による浮力調整では、4BとB(または2B)の2種類で基本的な調整が可能とされています。4Bは1.30g、Bは0.45g。この2つがあれば、組み合わせで0.45g・0.90g・1.30g・1.75gと段階を作れます。
2種類で足りる理由は、調整が「大きく動かす」と「詰める」の2段階だからです。まず4Bで狙いの重さに近づけ、Bで微調整する。最初から10種類買っても、現場で選ぶ時間が増えるだけで釣りは進みません。
使い始めてから「もう一段細かく詰めたい」と感じたら、G3やG5を足します。この順番なら、それぞれのガン玉が何のために増えたのかを自分で説明できる状態になります。買い足しの理由が説明できることが、道具選びの上達そのものです。
浮力別・ガン玉の組み合わせ例
この組み合わせが成り立つのは、4Bという1個あたりの単位が扱いやすい大きさだからです。小さい玉を10個打つより、大きい玉を数個打つほうが道糸の傷みも作業時間も抑えられます。ハリスに何個も噛ませると、その都度ラインは潰れます。
注意点は、ガン玉を1か所に集中させるか分散させるかで沈み方が変わることです。同じ合計重量でも、ウキ下の近くにまとめれば仕掛けは直線的に落ち、ハリ側へ分散させればエサはゆっくり漂います。同じ数字でも釣り方が変わるということです。
調整の目的は「トップの位置」と「エサの届き方」
浮力調整の目的は、アタリを取るためにトップの位置を微調整することにあります。ウキを見やすい水位に設定し、同時にエサが届く深さやスピードを調整する。この2つを同時に決めているのがガン玉です。
トップが高すぎると、小さなアタリが波に紛れて見えません。逆に低すぎると、うねりのたびに沈んで見失います。潮位や波の高さによって適切な高さは変わるので、朝一に決めた設定を昼まで放置するのではなく、波っ気が変わったタイミングで見直します。
エサの届き方については、同じタナ設定でも沈下速度で結果が変わります。表層で小魚に取られる日は速く沈める、底付近でエサが残る日はゆっくり漂わせる。ガン玉を1個足す・外すという操作が、この速度の調整弁になります。
同じ浮力でも、形・種類・色で使い勝手は変わる
浮力の数字が同じでも、ウキの形や種類が違えば挙動は変わります。番手を決めたあとの、最後の絞り込みです。
上ぶくれと下ぶくれで、得意な海が違う
円錐ウキには、重心が上寄りの上ぶくれタイプと、下寄りの下ぶくれタイプがあります。上ぶくれは潮に乗せて流していくのに有利な形状で、風のある時にも効果を発揮する基本形。下ぶくれはどっしりとした形状で、波が強い時や潮流が速い場所で効果を発揮します。
違いが出るのは、水面付近と水中のどちらで力を受けるかです。上ぶくれは水中側のボディが小さく、潮の流れに素直に乗ります。下ぶくれは水中側が大きいため、表層の風波に押されにくく、その場に留まる性格が強くなります。
選び方の目安は、その日の海面を見ることです。白波が立って表層だけが走っている日は下ぶくれ、穏やかで潮の筋に乗せたい日は上ぶくれ。1つ目を買うなら基本形の上ぶくれから入り、荒れた日に困った経験をしてから下ぶくれを足すと違いを実感できます。
7種類のウキと、それぞれの持ち場
| 玉ウキ・トウガラシウキ | 小物狙い向け。玉ウキは視認性が高く、トウガラシウキは棒状で感度が良い |
| シモリウキ | 波のある場所に対応。丸型と楕円型がある |
| 立ちウキ・円錐ウキ | 立ちウキはチヌ・グレ狙いで小さな当たりを捉えやすく、円錐ウキは磯や堤防の大物狙い・波が高い場所向き |
| 電気ウキ・発泡ウキ | 電気ウキは夜釣り用の先端発光タイプ、発泡ウキは遠投カゴ釣り用で高浮力・軽量 |
種類ごとに得意分野が分かれているのは、求められる情報が違うからです。小物のアタリは小さく速いので棒状の感度が要り、磯の大物狙いでは波に揉まれても消えない安定性が要る。同じ「3B」でも、玉ウキと円錐ウキではアタリの出方がまるで違います。
初心者がつまずくのは、堤防のサビキ釣りに感度重視の立ちウキを持ち込むような組み合わせのズレです。狙う魚と釣り方が先にあり、そこからウキの種類、最後に浮力の数字という順番で決めると外しません。ウキを使ったサビキの組み方は別記事で詳しく解説しています。

色は「見えるかどうか」だけで選ぶ
色を軽視できないのは、アタリの多くが「わずかな沈み込み」として現れるからです。逆光の海面で赤いトップは黒く潰れ、曇天ではオレンジが海面と同化します。手持ちを2色持っておき、光の条件で入れ替えるだけで見逃しは減ります。
シーン別・浮力と種類の組み合わせ
読者のタイプ別に整理すると、選ぶべき組み合わせは絞れます。堤防で足元から5m以内を釣る人は、B前後の浮力で視認性の高いウキ。堤防から沖の潮目を狙いたい人は、B以上の浮力で飛距離を確保できる形状が向きます。
磯でフカセをやる人は、2B〜5Bの帯を軸に、荒れた日用として下ぶくれ形状を1つ。深いタナや風の強い日に備えて1号を1つ足せば、ほとんどの状況に対応できます。夜釣りに出る人は、同じ浮力帯の電気ウキを別枠で用意します。
ウキを何本も揃える前に、自分がいちばん通う釣り場の水深を調べるほうが先です。水深がわかれば必要な浮力は2〜3種類に絞れます。使う場所を決めてから道具を決める。この順番が、ウキ箱を無駄に重くしないための考え方です。
まとめ:ウキ浮力表は「重さの指定書」として読む
ウキ選びで迷ったら、最初の1本は汎用性の高い3Bから試すのが分かりやすい入口です。3Bのガン玉(公式値で0.78g)を1個用意して水に浮かべ、トップがどう出るかを見る。ここで「表示どおりに打っても少し浮く」という余浮力の存在を体感できれば、浮力表の数字は暗記事項ではなく、自分の手で確かめられる目盛りに変わります。
次の釣行では、行き先の水深を先に調べてから浮力を決めてみてください。浅場なら0〜G2、タナ5m以内ならB、5〜8mなら2B〜5B、5ヒロ以上の深場なら1号。この対応を1度でも現場で試すと、売り場での迷いは半分以下になります。
なお、ガン玉の重さはメーカーによって差があり、ウキの余浮力も製品ごとに異なります。数値はメーカー公式のサイズ一覧や喫水線の解説、オモリの単位解説など、お使いの製品の公式情報で確認してください。

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