城ヶ島の地図を眺めていて、島の西の端に伸びた岩場に「灘ヶ崎」という名前を見つけた人は多いと思います。渡船に乗らずに歩いて行ける磯で、しかも外海に面している。メジナもクロダイもアオリイカも名前が挙がる。それだけ聞くと、初めての磯釣りにちょうどよさそうに見えます。
ただ、実際に行った人の記録を読むと評価が割れます。「駐車場から近くて楽」という声と、「岩がデコボコで座る場所すらない」「潮が上げてきて戻れなくなりかけた」という声が同居している。この落差こそが、灘ヶ崎という磯の性格そのものです。結論から言えば、灘ヶ崎はアクセスが簡単なだけで、足元と潮位の難易度は堤防とまったく別物の釣り場です。
この記事では、灘ヶ崎の地形と潮通しがどう釣りに効くのか、城ヶ島でどこが釣り禁止になっているのか、神奈川県の公式ルールで何を採ってはいけないのか、そして装備・駐車場・当日の段取りまでを、自治体と県の公開情報をもとに整理します。「釣れるかどうか」より先に「入っていいのか、無事に帰れるのか」を判断できる状態にしてから、竿の話に進みます。
・灘ヶ崎の地形と潮通しが釣果と危険度をどう決めているか
・城ヶ島で釣り禁止になっているエリアと、神奈川県の公式ルールで採ってはいけないもの
・潮位と風の見方、撤退ラインの決め方
・季節別に狙える魚と、4つの釣り方の使い分け
・駐車場の料金・営業時間と、当日の段取り
灘ヶ崎はどんな磯か|地図では見えない3つの特徴
灘ヶ崎は城ヶ島の西側に位置する大型の磯場です。城ヶ島は周囲4kmほどの島で、本土からは橋を渡って車で入れます。つまり渡船を予約しなくても磯に立てる、関東では貴重なタイプの釣り場です。ただし「行きやすい」ことと「やさしい」ことはまったく別だ、というのがこの見出しで伝えたいことです。
駐車場から徒歩約4分、渡船なしで立てる大型磯
灘ヶ崎の最大の特徴は、駐車場から徒歩約4分という距離感です。磯釣りといえば渡船で瀬に上げてもらい、迎えの時間まで戻れないのが普通ですが、灘ヶ崎は自分の足で入って自分の判断で帰れます。天候が崩れたら引き返せる、という点は初めて磯に立つ人にとって大きな安心材料です。
この距離が生む差は装備計画にも出ます。渡船の磯なら一日分の水・食料・予備タックルをすべて背負う必要がありますが、灘ヶ崎は車に置いておけます。荷物を軽くできる分、足元が悪い岩場でも転倒リスクを下げられるわけです。一方で「近いからいつでも戻れる」と考えて潮位を確認せずに入り、満潮で足場が消えて動けなくなるのが典型的な失敗です。近さは安全の保証ではありません。
判断のコツは、車に戻る導線を最初に歩いて覚えておくこと。入るときに通ったルートは、潮位が変われば別の顔になります。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 営業時間 | 24時間利用可能(駐車場営業時間に準じる) |
| 定休日 | 年中無休 |
| アクセス | 京急バス「三崎港」下車、城ヶ島方面へ。城ヶ島大橋経由で駐車場から徒歩約4分 |
| 駐車場 | 城ヶ島駐車場併設(普通車1日500円、二輪車100円、大型車1,000円。城ケ島駐車場ワンデーパス利用可) |
「座れる場所がない」ゴツゴツの岩礁帯という現実
灘ヶ崎の足場は、平らな磯ではありません。ゴツゴツした岩礁帯で、高さの変化が大きく、腰を下ろして休める平面がほとんどないと現地情報では説明されています。堤防のように荷物を並べてクーラーに座る、という釣り方はできないと考えてください。
なぜここまで凸凹なのかというと、外海の波を直接受け続けている岩場だからです。波当たりが強い場所ほど岩は削られ方が不均一になり、溝や段差が残ります。この地形は魚を呼ぶ変化でもあるので、釣り場としては悪くない。ただし人間にとっては歩きにくい。
初心者がやりがちな失敗は、堤防感覚でバッカン・クーラー・タックルボックスをフル装備で持ち込み、置き場所が見つからず岩の斜面に並べて、波っ気で流されることです。荷物は減らし、地面に置くものは必ず岩の高い側に固定する。この2点を守るだけで、当日のストレスが変わります。
外海に面した潮通しが、釣果の当たり外れを決める
灘ヶ崎は外海に面していて潮通しが良好です。潮が動くタイミングでは魚の活性が一気に上がる、というのが現地の共通見解になっています。逆に言えば、潮止まりの時間帯に入って「反応がない」と結論づけるのは早すぎます。
理由は餌の流れ方にあります。潮が動くと、プランクトンや小魚が一定方向に運ばれ、それを待つメジナやクロダイが岩の際に定位します。潮が止まると流れの筋が消え、魚は散るか動かなくなる。同じ場所・同じ仕掛けでも、潮が動いているかどうかで釣果が変わるのはこのためです。
具体的な失敗パターンとしては、朝いちばんに入って潮止まりに当たり、2時間ほど反応がなくて場所を変え、移動した直後に元の場所で潮が動き出す、というもの。判断のコツは、竿を出す前に潮見表で「今日いつ動くのか」を確認し、動く時間帯に体力と集中力を残しておくことです。
中〜上級者向けと言われる理由は釣り方ではなく足元
灘ヶ崎は中〜上級者向けと評価されることが多い磯です。ただし、仕掛けが難しいとか、テクニックが要るという意味ではありません。難易度の中身は足場と海況の判断です。
不規則な凸凹の岩場では、竿を振る姿勢が安定しません。ウキを投げる、合わせを入れる、魚を寄せるという動作のたびに重心が動くので、堤防と同じ感覚で体を使うと足を滑らせます。さらに外海に面しているため、うねりが残る日は波をかぶりやすい。この2つが重なると、釣りの技術とは無関係に危険になります。
意外と知られていないのですが、灘ヶ崎で「上級者」と呼ばれる人ほど、実は釣らずに帰る判断が早い。現地に着いて波の当たり方を見て、条件が悪ければ竿を出さずに別の場所へ移る。これは技術というより習慣です。初めて行く人ほど「せっかく来たから」を捨てられるかどうかが、実質的な難易度になります。
竿を出す前に確認したい、城ヶ島の「釣っていい場所」の線引き
城ヶ島は釣り人に人気があるぶん、ゴミや駐車のトラブルから釣り禁止エリアが増えてきた場所です。ここを曖昧にしたまま入ると、悪気がなくても迷惑をかけます。行く前に線引きを頭に入れておきましょう。
島内で釣り禁止・立入禁止になっているエリア
城ヶ島岸壁の東側突き当りと堤防の突堤部分は、釣り禁止エリアとして案内されています。灘ヶ崎の磯そのものは釣り禁止にはなっていませんが、島全体が自由に釣れるわけではないという前提で動く必要があります。
禁止エリアが生まれる背景は単純で、駐車マナー・ゴミ・危険行為の積み重ねです。一度禁止になった場所が解除される例はほとんどありません。つまり、今釣れる場所を残せるかどうかは、今そこにいる人の行動次第ということになります。
やりがちな失敗は、数年前の釣り場紹介記事を見て現地に行き、バリケードを越えてしまうケース。紹介記事の情報は更新されないまま残ります。判断基準は単純で、現地の掲示とロープ・バリケードが最優先。ネットの情報と現地の掲示が食い違ったら、必ず現地に従ってください。
古い釣り場紹介ページを頼りに入ってしまう事故が絶えません。禁止エリアは年単位で増えていくので、「去年は釣れた」は根拠になりません。到着したらまず掲示板とロープの位置を一周確認してから、荷物を降ろしてください。
ダイビング区域では竿を出さない
灘ヶ崎の一部にはスキューバダイビングの区域があり、そこでの釣りは危険とされています。水面下に人がいる場所へ仕掛けを投げるのは、トラブルどころでは済みません。
ダイバーがいるかどうかは、駐車場やエントリー地点に停まっている車、機材を担いだグループの動きで判断できます。海面にオレンジや黄色のフロート(潜水中を示す浮標)が出ていたら、その周辺には投げない。これは灘ヶ崎に限らず、三浦半島の磯全体で共通の作法です。
注意点として、ダイバーは水面から離れた場所に浮上することがあります。フロートから十分に離れていても、ルアーやオモリの飛距離は思ったより伸びます。人の気配がある日は、投げる方向を沖ではなく岩際に切り替えるほうが安全です。
神奈川県の公式ルール|使える漁具と、採ってはいけないもの
ここが最も見落とされる部分です。神奈川県の沿岸はほぼ全域に共同漁業権が設定されており、神奈川県「磯遊びのルールを守りましょう」では、アワビ・サザエ等の貝類、ワカメ・コンブ等の海藻類、イセエビやタコ等の共同漁業権対象生物は採捕できないと明記されています。竿で釣ることと、磯で採ることはまったく別の扱いだと理解してください。
特にアワビ・ナマコ・シラスウナギ(13cm以下)の採捕には、3年以下の拘禁刑又は3,000万円以下の罰金という罰則が定められています。「ちょっとだけ」で済む話ではありません。イセエビは相模湾沿岸で6月1日~7月31日が禁漁期、卵を持つものは通年で採捕禁止です。
以下は県の公式ページから、遊漁者が使える漁具・漁法と禁止事項を整理した一覧です(海釣りの教科書調べ)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える漁具・漁法 | 竿釣り、手釣り、やす、いそがね、くまで(幅15cm以下)、たも網、さで網、ざる、投網、徒手 |
| 使えない道具 | 集魚灯の使用は禁止 |
| 採ってはいけないもの | アワビ・サザエ等の貝類、ワカメ・コンブ等の海藻類、イセエビ・タコ等の共同漁業権対象 |
| イセエビの禁漁期 | 相模湾沿岸で6月1日~7月31日(卵を持つものは通年禁止) |
| 罰則 | アワビ・ナマコ・シラスウナギ(13cm以下)の採捕は3年以下の拘禁刑又は3,000万円以下の罰金 |
出典:神奈川県「磯遊びのルールを守りましょう」「遊漁のルール」
潮位と風、この2つを外すと灘ヶ崎の性格は一変する
灘ヶ崎で本当に怖いのは、魚が釣れないことではなく、帰れなくなることです。ここは干潮から満潮への潮位変化が激しく、戻れなくなるリスクがあると指摘されている磯場です。事前に決めておくべきことを整理します。
干潮で入って満潮で帰れない、が最も多い事故の形
磯で動けなくなる事故の典型は、干潮時に露出していた岩を伝って先端まで進み、釣りに集中しているうちに潮が満ちて戻り道が水没する、という流れです。灘ヶ崎はまさにこのパターンが起きやすい地形だと現地情報で警告されています。
なぜ気づかないのかというと、潮位は連続的に上がるので、目の前の水面だけを見ていても変化がわかりにくいからです。しかも釣れ始めるのは潮が動き出したタイミング、つまり潮位が変わっている最中。集中しているときほど危険が進行します。
対策はシンプルで、入る前に潮見表で満潮の時刻を確認し、戻り道が水没する前に引き上げる時間を決めておくこと。目印になる岩を1つ選び、「この岩が波をかぶり始めたら撤収」と物理的な基準に変換しておくと、時計を見なくても判断できます。
「あと1投だけ」で撤収が遅れるのが、磯で最も多い判断ミスです。潮位が上がった帰路は、行きと同じ場所でも滑りやすさが変わります。撤収の合図は魚の反応ではなく、決めておいた目印の岩で判断してください。
北寄りの風とうねりが残る日は、行かないのが正解
灘ヶ崎は風に弱く、北寄りの風が強い日は危険だとされています。加えて、うねりが残る日は波をかぶりやすい磯です。この2つは前日の予報で判断できます。
うねりが厄介なのは、風がやんでも数日残ることです。「今日は無風で穏やかだ」と思って入ったのに、忘れたころに大きな波が一発だけ乗り上げてくる。外海に面した磯で人が流されるのは、たいていこのパターンです。台風や低気圧が通過した直後は、風の予報が良くても波の予報を別に確認してください。
判断のコツは、現地に着いてから10分ほど何もせずに海を眺めること。波は一定ではなく、周期的に大きいものが入ります。荷物を降ろす前に「一番大きい波がどこまで上がるか」を見ておけば、立ち位置を決められます。
撤退ラインを先に決める3ステップ
危険な判断は、たいてい現場で悩んだときに起きます。悩まないためには、竿を出す前に条件を確定させておくのが確実です。
単独釣行を避けるのは、腕の問題ではない
磯釣りは本来的に危険を伴う釣りで、安全装備は妥協してはいけないと専門媒体でも繰り返し指摘されています。灘ヶ崎のように歩いて入れる磯は「気軽に一人で」と考えがちですが、転倒して動けなくなったときに気づいてもらえるかどうかが分かれ目になります。
単独で行く場合は、行き先と帰宅予定を必ず誰かに伝えておく。スマートフォンは防水ケースに入れ、電池を残しておく。この2つだけでも、事故が起きたあとの結果が変わります。
また、島内にコンビニはなく、最寄りまで車で7分ほどかかります。飲み物や補給食は本土側で用意しておいたほうが確実です。自動販売機はありますが、真夏に磯で立ち続ける前提の量は確保できないと考えてください。
灘ヶ崎で狙える魚は、季節でほぼ入れ替わる
灘ヶ崎の主なターゲットはメジナ(グレ)とクロダイ(黒鯛)です。加えてイシダイ、ブダイ、青物、カサゴ、ムラソイなどが期待でき、春と秋にはアオリイカのポイントとしても知られています。季節ごとに「何を狙うか」を決めてから道具を組むと、無駄な荷物が減ります。
年間の主役はメジナとクロダイ
灘ヶ崎で軸になるのはメジナとクロダイです。どちらも岩礁帯に着く魚で、外海の潮通しがよい磯の地形と相性が合っています。この2魚種を狙うなら、ウキフカセ釣りが基本になります。
この2種が主役になる理由は、灘ヶ崎の地形そのものにあります。凸凹の岩と溝は、メジナが身を寄せるサラシや払い出しを作り、クロダイが好む起伏のある底質を提供します。つまり「歩きにくい足場」と「魚が着く地形」は同じ理由で成立しています。
失敗しやすいのは、広い海に向かって遠投してしまうこと。この2魚種は沖よりも岩際、足元から続く溝や潮の筋にいることが多い。仕掛けを遠くへ運ぶより、手前の変化に丁寧に流すほうが結果につながります。
春と秋はアオリイカ、エギングの選択肢が入る
春と秋のシーズンには、灘ヶ崎はアオリイカのポイントになります。春は産卵を意識した大型、秋は数が狙える新子と、同じ魚種でも性格が変わるのがアオリイカの特徴です。
アオリイカが磯に寄る理由は、藻場と潮通しの組み合わせにあります。産卵期の親イカは海藻に卵を産みつけるため藻の残る場所に寄り、秋の新子は餌となる小魚を追って潮の当たる岩際に集まります。灘ヶ崎が両方のシーズンで名前が挙がるのは、この2条件を満たしているからです。
注意したいのは、足場の悪い磯でのエギングは、ロッドを持って移動する回数が多い釣りだということ。歩きながらキャストポイントを探すスタイルは灘ヶ崎の岩場と相性が悪いので、立ち位置を決めたら扇状に探る形に切り替えるほうが安全です。
夏は青物と根魚、狙いを分けて考える
夏場は青物、カサゴ、ムラソイといった顔ぶれが中心になります。青物は表層から中層を回遊し、カサゴやムラソイは岩の穴や溝に定位する根魚です。同じ日に両方を狙うなら、時間帯で切り替えるのが現実的です。
理由は活性の出方が違うからです。回遊魚は潮が動く短い時間に集中して入ってきますが、根魚は潮が緩んでも岩の際で餌を待っています。潮が動いている間はルアーやカゴで沖を探り、緩んだら足元の溝を探る。この順番にすると、待ち時間が減ります。
夏の失敗パターンは、暑さで体力を削られてしまうことです。灘ヶ崎は座れる平面が少なく、日陰もありません。夏に長時間粘るのは現実的ではないので、潮が動く時間に合わせて短時間で入るほうが釣果も安全性も上がります。
冬こそ良型メジナ、人が減る季節の本命
冬から春にかけては良型のメジナやクロダイが期待できる時期です。寒さで釣り人が減る一方、メジナは低水温期に体高のある良型が岸寄りに入ります。灘ヶ崎の実力が出るのはこの季節だと考えていいでしょう。
ただし冬は北寄りの風が吹きやすい季節でもあります。灘ヶ崎は北寄りの風が強い日は危険とされているので、「釣期としてはベスト、条件としては要注意」という組み合わせになります。風向きの予報を毎回確認する前提で計画してください。
冬に狙うなら、防寒よりも先に「濡れない」対策です。波をかぶる磯で衣類が濡れると、体温は一気に奪われます。防水性のあるアウターと、着替えを車に置いておくこと。車が近い灘ヶ崎では、この備えが機能します。
| 季節 | 主なターゲット | 向いている釣り方 |
|---|---|---|
| 春 | アオリイカ、メジナ、クロダイ | エギング、ウキフカセ釣り |
| 夏 | 青物、カサゴ、ムラソイ | ルアー釣り、探り釣り |
| 秋 | アオリイカ、メジナ、クロダイ | エギング、ウキフカセ釣り |
| 冬 | 良型メジナ、クロダイ | ウキフカセ釣り |
4つの釣り方、初日はどれを選ぶべきか
現地で成立している釣り方は、ウキフカセ釣りを中心に、ブッコミ釣り、ルアー釣り、エギング、根魚を狙う探り釣りです。全部を一度に持ち込むのは足場の都合で無理があるので、1日1スタイルに絞る前提で考えます。
ウキフカセ釣り|灘ヶ崎の標準スタイル
灘ヶ崎で中心になるのはウキフカセ釣りです。オキアミを撒いて魚を寄せ、同じ餌をつけた仕掛けを潮に乗せて流す釣り方で、メジナとクロダイの両方に対応できます。最初の1回でどれか選ぶなら、これが無難です。
フカセが向いている理由は、外海の潮通しを味方にできるからです。潮が動く磯では、撒き餌の帯がそのまま魚の通り道になります。仕掛けを潮上に入れて撒き餌と同調させれば、遠投しなくても魚のいる層まで餌が届きます。
初心者がつまずくのは、撒き餌と仕掛けがバラバラの場所に落ちることです。撒いた場所に仕掛けを投げるのではなく、流れて到着する場所を予測して先に入れる。この時間差の感覚が、フカセ釣りの本質です。

エギング|春秋限定、立ち位置を固定して扇状に探る
アオリイカを狙うエギングは、春と秋の選択肢です。エギを沈めてしゃくり上げ、フォール中に抱かせる釣り方で、荷物が少なくて済むのが磯では大きな利点になります。
灘ヶ崎でエギングをするなら、キャストごとに移動する釣り方は避けてください。凸凹の岩場を歩きながらロッドを振ると、足元の確認がおろそかになります。1箇所に立って角度を変えながら扇状に探り、反応がなければ荷物ごと安全に移動する。この手順に変えるだけでリスクが下がります。
注意点として、根がかりが多い磯ではエギのロストが増えます。予備を多めに持つ、というより、着底を取りすぎない意識のほうが有効です。カウントを取って底の少し上を通すほうが、結果的に手返しが上がります。
ブッコミ釣りと探り釣り|置き竿と手持ちの使い分け
ブッコミ釣りは、オモリを効かせた仕掛けを底に置いて待つ釣り方で、真鯛や青物が対象になります。一方、探り釣りは足元の穴や溝に仕掛けを落としてカサゴやムラソイを狙う釣り方です。
この2つは性格が正反対で、ブッコミは「待つ」、探りは「歩いて数を撃つ」釣りです。灘ヶ崎の足場を考えると、ブッコミで置き竿を出しつつ、その周辺の穴を探り釣りで撃つという組み合わせが現実的になります。移動量を抑えたまま2つの釣りを回せるからです。
気をつけたいのは、置き竿の位置です。凸凹の岩場では竿掛けが安定せず、波をかぶると竿ごと持っていかれます。竿は必ず高い側の岩に置き、リールのドラグを緩めておく。この2点を守らないと道具を失います。
潮通し=その場所を海水がどれだけ入れ替わるかを表す言葉。外海に面して流れが当たる磯は潮通しが良く、餌が絶えず運ばれるため回遊魚も根に着く魚も集まりやすくなります。灘ヶ崎が「潮が動く時間に活性が上がる」と言われるのは、この潮通しの良さが理由です。
ルアーで青物を狙うときの現実的な条件
灘ヶ崎ではシーバスやジギングといったルアー釣りも成立します。ただし、青物のルアー釣りは足場の安定が前提になる釣りです。フルキャストの動作は体重移動が大きく、凸凹の岩の上では姿勢が崩れやすくなります。
足場を確保できる平らな面がある位置を先に見つけ、そこから届く範囲だけを狙う。届かない沖に反応が出ても追わない。これが磯でのルアー釣りの基本です。青物は潮が動く短時間に入るので、その時間だけ集中して投げる形にすれば、体力的にも無理がありません。
また、ランディングの問題もあります。良型が掛かっても、凸凹の岩場では抜き上げも玉網も難しい場面があります。取り込める場所を先に決めてから釣りを始める、という順番を守ってください。
装備は靴とライフジャケットから決めると失敗しない
灘ヶ崎で必須とされているのは、スパイクシューズとライフジャケットの2点です。竿やリールの前に、この2つを決めてください。理由は単純で、この2つだけが命に直結するからです。
スパイクシューズ|スニーカーで磯に立たない
不規則な岩場での滑り止めと安定性の確保のために、スパイク付きの靴が必要です。灘ヶ崎は岩がゴツゴツして高さの変化が大きい磯なので、靴底のグリップがそのまま安全性になります。
なぜスニーカーではだめかというと、磯の岩には海藻やぬめりが付いていて、乾いた岩に見える場所でも接地面が滑るからです。ゴム底は濡れた岩肌に対してほとんど効きません。スパイクピンが岩の微細な凹凸に食い込むことで、初めて体重を預けられます。
実際に多い失敗は、「駐車場から徒歩約4分なら普段の靴でいい」と考えて入り、最初の一歩で滑るパターンです。近さと安全は関係ありません。選択肢としては、防水性を優先するブーツ型と、歩きやすさを優先するシューズ型があります。灘ヶ崎のように歩く距離が短く、波をかぶる可能性がある磯ならブーツ型が扱いやすいでしょう。
ライフジャケット|磯では固定型を選ぶ
ライフジャケットは、転倒して落水したときの生命維持と、岩礁への落下対策を兼ねます。磯では固定型(フローティングベスト)が推奨されます。岩に擦れてもインパクトに強く、衝撃時の安全性が確保できるためです。
自動膨張式との違いはここにあります。膨張式は動きやすい反面、鋭い岩に擦れると気室が損傷する可能性があります。磯は落ちる先が水だけとは限らず、岩に体を打ちつけるリスクがあるので、浮力体そのものがクッションになる固定型のほうが理にかなっています。
選ぶときは、国が定めた基準に適合していることを示す表示を確認してください。ポケットの多いゲームベストタイプなら、小物を身につけたまま両手が空くので、足場の悪い灘ヶ崎では移動時の安全にもつながります。

タイプ別|初めての人、2回目の人、イカ狙いの人
同じ灘ヶ崎でも、目的によって持ち込むべき装備は変わります。荷物を置く場所がない磯なので、削れるものは削るのが正解です。
| 初めて磯に立つ人 | スパイクシューズ+固定型ライフジャケット+ウキフカセ一式。竿は1本、荷物は背負える量まで |
| 2回目以降・魚を増やしたい人 | フカセ一式+探り釣り用の短竿。潮が緩む時間に足元の溝を撃てる構成にする |
| アオリイカ狙い(春・秋) | エギングロッド1本とエギを収めたケース。両手が空く装備にして移動時の安全を優先 |
| 共通で外せないもの | スパイクシューズ、固定型ライフジャケット、防水ケースに入れたスマートフォン、飲み物 |
磯釣り全体の道具立てを整理してから行く
灘ヶ崎は歩いて入れる磯なので、渡船の磯に比べて準備のハードルが低い場所です。ただし、装備の考え方そのものは渡船の磯と同じで、堤防とは別系統になります。竿の号数やハリスの太さ、玉網の長さといった基本の組み立ては、事前に整理しておくと現地で迷いません。
特に、磯竿の号数選びは対象魚と根の荒さで決まります。灘ヶ崎のように岩の起伏が大きい場所では、掛けた魚を根に潜らせない強さが必要になるため、堤防のフカセより余裕を持たせた組み合わせが安心です。

当日の段取り|駐車場・エサ・トイレ・ゴミ
灘ヶ崎の釣行は、駐車場の営業時間に生活リズムが縛られます。ここを把握しておくと、当日の動きがスムーズになります。
駐車場の料金と営業時間は季節で変わる
城ヶ島の公共駐車場は、神奈川県の城ケ島駐車場ワンデーパス案内によると、普通車500円/日、二輪車100円/日、大型車1,000円/日です。公園の第1・第2駐車場の営業時間は4月~9月が8:00~19:00、10月~3月が8:00~17:00となっています。
ここで注意したいのが、季節による閉場時刻の差です。冬場は17:00に閉まる駐車場があるため、夕まずめを狙って粘ると車が出せなくなる可能性があります。一方、第1~第4駐車場は24時間営業とされているので、時間帯によって停める場所を選ぶ必要があります。
実は、この駐車場の時間と潮位のタイミングが噛み合わないことが、灘ヶ崎で釣りを切り上げる一番多い理由です。「潮は動き出したのに駐車場が閉まる」という状況を避けるには、前日のうちに潮見表と駐車場の営業時間を並べて見ておくのが確実です。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 営業時間 | 年中無休 |
| 定休日 | 年中無休 |
| アクセス | 京急バス「三崎港」バス停下車、各駐車場から徒歩 |
| 駐車場 | 城ヶ島駐車場(普通車1日500円、二輪車1日100円、大型車1日1,000円。営業時間:4月~9月 8:00~19:00、10月~3月 8:00~17:00) |
| 公式サイト | 公式サイト |
ワンデーパスを使うと島内の駐車場を回れる
城ケ島駐車場ワンデーパスを使うと、島内6か所の公共駐車場を1日に何回でも利用できます。普通車は6か所すべてで利用可能とされています。
これが効いてくるのは、条件が悪くて灘ヶ崎から移動したいときです。波が高い、風向きが合わないといった理由で場所を変える判断をしても、駐車料金を二重に払う必要がありません。撤退のハードルが下がるという意味で、安全面の装備の一つと考えてもいいでしょう。
注意点として、二輪車と大型車は利用できる駐車場が限られます。バイクで行く場合は、停められる場所を事前に確認してから出発してください。
灘ヶ崎に行くなら、朝と夕方のどちらがいいですか?
時間帯より潮が動くかどうかを優先してください。灘ヶ崎は潮通しがよく、潮が動くタイミングで活性が上がる磯です。ただし冬季は駐車場が17:00に閉まる場所があるため、夕方まで粘る計画なら24時間営業の駐車場を選ぶ必要があります。
エサと補給は島に入る前に済ませる
餌については、三崎港の花暮岸壁で活きイソメやオキアミを購入できるとされています。島内にコンビニはなく、最寄りまで車で7分ほどかかるため、飲み物や補給食も含めて本土側で揃えておくのが確実です。
磯では途中で買い足しができません。撒き餌が足りずに午前中で終わる、水が足りずに集中力が切れる、というのは技術以前の問題です。必要量が読めないうちは、多めに持って車に置いておくのが現実的な解決策になります。
逆に、車が近いという灘ヶ崎の利点はここで生きます。渡船の磯なら全部を担ぐしかありませんが、灘ヶ崎なら「必要な分だけ持って入り、足りなければ取りに戻る」が成立します。荷物を減らして足元の安全を確保できるのは、この釣り場ならではです。
トイレとゴミ|釣り場を残すための最低条件
トイレは城ヶ島駐車場内と公園内に設置されています。入る前に済ませておくのが基本です。磯に立ってしまうと、戻るまで身動きが取れなくなります。
ゴミについては、城ヶ島や三崎港でゴミ問題から釣り禁止エリアが増えてきた経緯があります。仕掛けの切れ端、餌のパック、飲料の容器はすべて持ち帰る。撒き餌をこぼした場所は海水で流す。これらは「マナー」ではなく、この釣り場を来年も使うための条件です。
特にライン(釣り糸)の切れ端は、鳥や海の生き物に絡まる被害につながります。小さなポーチを1つ用意して、切った糸は必ずそこに入れる習慣をつけてください。
まとめ|最初の1回で押さえておきたいこと
灘ヶ崎は、渡船を使わずに外海の磯に立てるという点で、堤防から一歩進みたい人にとって現実的な選択肢です。その一方で、足場の悪さと潮位変化の激しさは堤防と別物で、装備と判断を堤防のまま持ち込むと危険な場所に変わります。最初の一歩としておすすめしたいのは、釣り道具を買い足す前にスパイクシューズと固定型ライフジャケットを揃えること。そのうえで、初回は潮が動く時間帯に短時間だけ入り、足場と波の当たり方を体で覚えてから本格的に狙う、という順番が安全です。
※駐車場の料金・営業時間、禁漁期間、釣り禁止エリアは変更されることがあります。釣行前に神奈川県および現地の掲示で最新情報をご確認ください。
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