三浦半島で釣りを始めようと調べ始めると、出てくる情報の多さに手が止まります。城ヶ島、三崎港、油壷、宮川港、通り矢堤防――名前は次々に出てくるのに、「結局どこに立てばいいのか」「そこは今も釣っていい場所なのか」は、なかなかはっきりしません。
先に結論をお伝えします。三浦半島の釣りで最初に決めるべきは魚種ではなく、「立てる場所」と「立ってはいけない場所」の線引きです。半島の主要な港はどこも漁港であり、釣りができるのは岸壁のごく一部。同じ港の中でも「ここから先は立入禁止」という線が引かれていて、その線を知らずに歩き回ると、釣る前に追い返されます。近年は釣り人のマナー低下で釣り場そのものが減っており、場所選びの難易度は上がる一方です。
この記事では、三浦半島の代表的な陸っぱりポイントの性格と現地ルール、陸から出られないときの貸しボート・渡船・海上釣り堀という3つの逃げ道、そして神奈川県が定める採捕禁止のルールと安全装備の最低ラインまでを、公的機関と各施設の公開情報をもとに整理します。読み終えたときに「次の休みはここに行って、この釣り方をする」が決まっている状態を目指します。
・主要4ポイント(三崎港・城ヶ島・宮川港・通り矢堤防)の性格と、それぞれの立入禁止ラインがわかる
・陸っぱりが厳しい日に選べる貸しボート・渡船・海上釣り堀の使い分けがわかる
・アワビ・ナマコ・イセエビなど、触れると罰則がある対象と神奈川県のルールがわかる
・ライフジャケットや磯靴など、三浦半島で最低限そろえるべき装備がわかる
三浦半島釣りが「一年中どこかで釣れる」と言われる地形の理由

三浦半島は、東京湾と相模湾という性格の違う2つの海に挟まれた細い半島です。この形が、シーズンオフのない釣り場を生んでいます。
東側と西側で海が別物だから、風が吹いても逃げ場がある
三浦半島の釣りが年間を通じて成立する最大の理由は、半島の東と西で海況が独立していることです。西側の相模湾に面した油壷や城ヶ島の南向きは、南西風が吹くと波を受けます。一方、東側の金田湾・宮川方面は北東風に弱い代わりに、南西風のときは穏やかです。
これは単なる地理の話ではなく、釣行判断そのものに直結します。前日の予報で風向きが決まれば、行くか行かないかではなく「東に行くか西に行くか」の判断に変わるからです。三浦半島の釣り人が天気予報の風向きを最初に見るのは、そのためです。
初心者がやりがちなのは、有名なポイント名を1つだけ決めて出発し、現地で強風にあおられてそのまま帰ることです。半島の幅は車で20分ほどしかないので、行き先を2つ用意しておけば、現地で切り替えられます。
判断のコツは、波よりも風を見ることです。堤防では波高より、正面から吹く風のほうが仕掛けを飛ばせなくします。磯に立つ場合は、うねりが残っている日は無理をせず港の岸壁に切り替えるのが安全です。
通年の本命はメジナとクロダイ、季節の主役は3魚種で覚える
三浦半島で年間を通して狙えるのは、メジナ(グレ)とクロダイ、そしてアジです。城ヶ島はメジナが島の看板魚とされ、情報サイトでは「30cm以上が一般的で40cm超の大型も報告されています」と紹介されています。宮川港でも10月にフカセ釣りでクロダイ32cmの釣果が伝えられており、半島全域でこの2魚種が軸になります。
季節の主役は3つ覚えれば十分です。春はヒラメ、初夏はイサキ、秋はアオリイカ。金田湾の貸しボート店は、6月から9月がイサキ、春から初夏がヒラメ、夏から秋がタコと季節別の釣果を公開しています。アオリイカは春に大型、秋に数釣りという明確な二山型で、油壷では9月中旬から10月がピークとされます。
魚種を欲張ると仕掛けが増えて荷物が重くなり、結果としてどれも中途半端になります。「今日はメジナ狙いのフカセ一本」「今日はエギング一本」と決めて出るほうが、釣果は安定します。
時期はあくまで例年の傾向で、水温次第で前後します。秋のアオリイカが1か月ずれることは珍しくないので、直近の状況は現地の釣具店や港の様子で確かめるのが確実です。
電車とバスだけでも竿を出せる半島は、関東では貴重
三浦半島の釣り場の多くは、京急線の三浦海岸駅からバスでアクセスできます。三崎港へは三浦海岸駅からバス「うらり」行きの終点、城ヶ島へは「城ヶ島」行きの終点、宮川港へは「宮川」下車です。通り矢堤防にいたっては、バス停「通り矢」から徒歩30秒という近さです。
車のない釣り人にとって、これは大きな意味を持ちます。駐車場を探す必要がなく、渋滞に巻き込まれず、帰りに眠気と戦わなくて済むからです。特に通り矢堤防は、車で行くと駐車場から徒歩18分ほど歩くことになるため、バス利用のほうが圧倒的に楽です。
一方で、バス利用には荷物の制限がつきます。長い磯竿とクーラーボックス、コマセバケツを抱えてバスに乗るのは現実的ではありません。ロッドケースに収まる振出竿と、肩掛けできるサイズのクーラーにまとめるのが前提になります。
最終バスの時刻だけは出発前に必ず確認してください。夕マヅメが最も釣れる時間帯であるだけに、帰りの足を確保せずに粘って取り残されるのは、三浦半島でよくある失敗です。
最初の1日、どこに立つか?主要4ポイントは性格がまるで違う
三浦半島の陸っぱりは、「どこでも似たようなもの」ではありません。設備が整った港、磯まで歩ける島、人の少ない堤防、潮通しで勝負する堤防と、性格がはっきり分かれています。
| 項目 | 三崎港 | 城ヶ島 | 宮川港 | 通り矢堤防 |
|---|---|---|---|---|
| 釣り場タイプ | 岸壁・護岸 | 地磯・堤防・岸壁 | 堤防・テトラ | 堤防 |
| 主な対象魚 | メジナ・クロダイ・アジ・シロギス・カレイ・シーバス | メジナ・クロダイ・アオリイカ・青物 | クロダイ・メジナ・ボラ・小物 | クロダイ・メジナ・アオリイカほか約20種 |
| トイレ・売店 | うらりマルシェ・コンビニあり | 島内にあり | トイレあり/コンビニは車で4分 | トイレ・コンビニなし |
| 向いている人 | 初めての1日・家族連れ | 磯にも挑戦したい人 | 静かに竿を出したい人 | 潮を読んで数を狙う人 |
三崎港は「設備が全部そろっている」から最初の1日に向く
三浦半島で初めて竿を出すなら、三崎港が最も失敗しにくい選択です。港内の花暮岸壁は「三崎港のNo.1釣り場で、足場が良く近隣に駐車場、トイレ、コンビニ、釣り餌を扱う店があり利便性に富んでいます」と紹介されるとおり、釣りに必要なものが徒歩圏にそろっています。
設備が重要なのは、初心者ほどトラブルが起きるからです。仕掛けを切らした、エサが足りない、子どもがトイレに行きたがった――こうした事態で釣りが終わらないのは、三崎港の大きな利点です。狙える魚もメジナ、クロダイ、アジ、シロギス、カレイ、シーバスと幅広く、釣り方を絞り込めていない段階でも何かしら反応が得られます。
釣り場は花暮岸壁のほかに、北条湾、超低温冷蔵庫前、うらりマルシェ前などのエリアに分かれています。ただし、このすべてが自由に釣れるわけではありません。花暮岸壁でも東側や北条湾向きの一部エリアは立入禁止で、超低温冷蔵庫前は赤線で示された部分が釣り禁止です。
初めて行く人は、まず港内を一周してから釣り座を決めてください。荷物を広げてから「ここは立入禁止です」と言われるのが、いちばん時間を失うパターンです。
| 住所 | 〒238-0243 神奈川県三浦市三崎町 |
| 電話番号 | 046-881-6721 |
| 営業時間 | 駐車場:24時間(料金時間帯あり)、釣り場:24時間アクセス可 |
| アクセス | 京急久里浜線「三浦海岸駅」からバス「うらり」行き終点 |
| 駐車場 | あり(複数あり、最安料金200円/40分~) |
| 公式サイト | 公式サイト |
花暮岸壁そのものの水深や禁止ラインを詳しく知りたい場合は、こちらも参考にしてください。

「花暮岸壁って、まだ釣りしていいの?」——三崎港の釣り場を調べていると、必ずここで手が止まります。ネット上には「立入禁止になった」という情報と「普通に釣り人がい…
城ヶ島は1つの島で「岸壁・堤防・地磯」を試せる
城ヶ島は、三浦半島の釣りを語るうえで外せない島です。「島全体が釣りポイントとなっており、1年を通して様々な魚釣りが楽しめます」と紹介されるほどポイントが多く、城ヶ島岸壁、灘ヶ崎、ホテル下の磯、ヒナダン、釜島裏と、足場のレベルが違う釣り場が1つの島に同居しています。
これが初心者にとって意味を持つのは、ステップアップが同じ島で完結するからです。最初は足場の良い城ヶ島岸壁でサビキやフカセを覚え、慣れてきたら地磯に降りる、という順番が踏めます。島の看板魚であるメジナは30cm以上が一般的とされ、堤防で釣れるサイズとは引きの強さが違います。
アクセスは三浦海岸駅からのバスのほか、三崎港から渡船で渡る方法もあります。車で城ヶ島大橋を渡る場合は有料駐車場を利用しますが、休日は朝のうちに埋まることがあるため、早着が前提です。
注意すべきは、島内にも釣り禁止エリアがあることです。城ヶ島岸壁の左右の突堤は釣り禁止とされており、立入禁止エリアは現地の看板で確認するのが原則です。地磯に降りる場合は、磯靴と手袋を必ず用意してください。濡れた岩の上をスニーカーで歩くのは、三浦半島でいちばん危険な行為です。
| 住所 | 〒238-0237 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 電話番号 | 046-881-6721 |
| 営業時間 | 24時間アクセス可(渡船は10:00-16:00) |
| アクセス | 京急線「三浦海岸駅」からバス「城ヶ島」行き終点、または三崎港からフェリー「さんしろ」で約5分 |
| 駐車場 | あり(¥450-500/日) |
| 公式サイト | 公式サイト |
城ヶ島の岸壁と磯の使い分け、禁止エリアの見極め方は別記事で詳しく整理しています。

三浦半島の先端にある城ヶ島は、車を停めて数分歩けば堤防にも磯にも立てる、関東でも珍しい地形の島です。ところが実際に調べ始めると「どこで釣っていいのか分からない」…
宮川港は「人が少ない」ことそのものが価値になる堤防
休日の城ヶ島や三崎港に人が多すぎると感じたら、半島南部の宮川港が選択肢になります。「三浦半島の南部に位置する堤防で、比較的釣り人が少なくのんびりと竿を出すことができます」と紹介されるとおり、混雑とは無縁の釣り場です。
人が少ないことは、単に快適というだけではありません。フカセ釣りのようにコマセで魚を寄せる釣りは、隣との距離が近いほど互いの撒き餌が干渉し、狙ったポイントに魚が溜まりません。堤防を広く使えるかどうかは、そのまま釣果に響きます。
堤防先端で水深3〜3.5m、底は砂地です。ウキフカセでクロダイとメジナを狙うのが定番で、テトラポットの右側では穴釣りも成立します。足場が良くファミリー向けとも評され、トイレも港管理事務所の近辺にあります。
気をつけたいのは、堤防先端が船の接岸ゾーンで釣り禁止になっている点と、テトラ周りの潮位です。高潮時の穴釣りではウェーダーが必要になる場面があり、装備がないまま無理に踏み込むと転落のリスクがあります。
| 住所 | 神奈川県三浦市南下浦町太沢 |
| 営業時間 | 24時間アクセス可 |
| アクセス | 三浦海岸駅からバス「宮川」下車 |
| 駐車場 | あり(宮川環境施設駐車場:平日520円、土日1040円) |
| 公式サイト | 公式サイト |
通り矢堤防は潮通しで勝負する「20種が狙える」堤防
城ヶ島大橋の直下にある通り矢堤防(田中堤防)は、魚種の多さが際立つ釣り場です。特徴は「『城ヶ島水道の良好な潮通し』と『砂地に点在する岩礁』」にあり、クロダイ、メジナ、アイゴ、カワハギ、アオリイカ、シロギス、アジ、サバ、メバル、カサゴ、真鯛、ヒラメなど約20種が狙えるとされます。
潮通しの良さは、回遊魚が入ってくる確率を上げます。砂地に岩礁が混じる底質は、砂地を好むシロギスやヒラメと、根を好むメバルやカサゴが同じ堤防で釣れる理由です。1本の竿でどちらを狙うか決めきれない日には、ちょうど良い釣り場と言えます。
ただし、設備は何もありません。トイレもコンビニもなく、最寄りのコンビニまで車で4分ほどかかります。長時間の釣行や子ども連れの場合は、この点が大きく効いてきます。
また、車の横付けは禁止されています。駐車場から徒歩18分ほど歩く必要があるため、荷物を厳選するか、バス停「通り矢」から徒歩30秒というアクセスを活かすのが現実的です。テトラポットや突堤への立入も禁止されています。
| 住所 | 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島大橋直下 |
| 営業時間 | 24時間アクセス可 |
| アクセス | バス「通り矢」停留所から徒歩30秒(推奨)、車の場合は「ザ・パーク三浦三崎漁港」から徒歩約18分 |
| 駐車場 | 「ザ・パーク三浦三崎漁港」利用(堤防直近への駐車は厳禁) |
| 公式サイト | 公式サイト |
「ここは釣っていい場所ですか」を釣り座に座る前に確かめる

三浦半島の釣りで最も多いトラブルは、魚が釣れないことではなく、釣ってはいけない場所に入ってしまうことです。港はすべて漁業の現場であり、釣りは「空いている場所を使わせてもらっている」立場にあります。
「有名ポイントだから大丈夫」と地図アプリの座標だけを見て向かい、現地で立入禁止の看板に突き当たるのが最も多い失敗です。三浦半島では同じ港の中でも釣り可のエリアが限定されており、港の名前で入場可否は判断できません。釣り座を決める前に、まず現地の看板とロープの位置を一周して確認してください。
三崎港は「釣れる場所」より「釣れない場所」を先に覚える
三崎港は釣り場が広い分、禁止エリアも細かく分かれています。花暮岸壁は東側と北条湾向きの一部エリアが立入禁止、北条湾は「釣りができるのは『湾の最奥部の護岸のみ』に限定されており、湾の入り口や側面は漁業関係者の作業場となっており、立ち入りが禁止されています」。
この線引きは、漁業の作業動線で決まっています。漁船が接岸し、水揚げし、荷を運ぶ通路に釣り人がいれば作業が止まります。逆に言えば、作業の邪魔にならない場所だけが釣り人に残されているということです。
超低温冷蔵庫前も同様で、赤線で示された部分が釣り禁止、関係者エリアへの進入も禁止されています。マグロを扱う施設の前であり、業務用車両の出入りが多いエリアです。
迷ったときの判断基準はシンプルで、「漁協の車や漁船が動いている場所には近づかない」です。これだけで大半の禁止エリアは避けられます。
時間帯で釣り禁止になるエリアがある
三崎港のうらりマルシェ前は、商業施設の営業時間帯が釣り禁止になっています。つまり、同じ場所でも朝夕は釣りができ、日中はできないという時間制のルールです。
これを知らずに昼前から釣り始めると、途中で移動を求められます。早朝に釣り始めた人が「朝は釣っている人がいたのに」と思うのは、この時間制のためです。
時間で変わるルールは、看板を見落としやすいという問題もあります。朝暗いうちに入ると看板が読めず、明るくなってから気づくケースが典型です。ヘッドライトで一度看板を照らして読む習慣をつけてください。
なお、時間制のルールがある場所は、そもそも観光客が多い場所です。キャストの後方確認、コマセの飛散、竿の置き方など、周囲への配慮が特に求められます。
車の横付けとコマセの流し忘れが、釣り場を1つずつ減らしている
通り矢堤防では車の横付けが禁止され、コマセ使用後の堤防洗浄が求められています。これは「マナーの推奨」ではなく、釣り場が存続するための条件です。
三浦半島では「釣り人のマナーや釣りゴミの問題で釣り場が減ってしまう状況があります」と指摘されており、実際に近年は釣り禁止エリアが増加傾向にあります。乾いたコマセは強烈な臭いを放ち、漁業関係者と近隣住民の生活に直接影響します。
よくある失敗は、帰り際に海水を汲む道具がなく、洗い流せないまま帰ることです。原因は装備の不足で、対策は単純です。ロープ付きのバケツを1つ持っていくだけで解決します。
洗うのは自分が汚した範囲だけで構いません。完璧を目指す必要はなく、「使った場所を使う前の状態に戻す」ことが守られていれば、釣り場は残ります。
主要ポイントのルールを一覧で持っておく
現地で迷わないために、主要ポイントの公開ルールを整理しました(海釣りの教科書調べ/各釣り場の公開情報をもとに作成)。
| 釣り場 | 立入・釣り禁止エリア | 車の扱い |
|---|---|---|
| 三崎港・花暮岸壁 | 東側・北条湾向きの一部エリア | 近隣の有料駐車場を利用 |
| 三崎港・北条湾 | 湾の入り口と側面(釣り可は最奥部の護岸のみ) | 近隣の有料駐車場を利用 |
| 三崎港・うらりマルシェ前 | 商業施設の営業時間帯は釣り禁止 | 近隣の有料駐車場を利用 |
| 城ヶ島 | 城ヶ島岸壁の左右の突堤 | 島内の有料駐車場を利用 |
| 宮川港 | 堤防先端(船の接岸ゾーン) | 宮川環境施設駐車場を利用 |
| 通り矢堤防 | テトラポット・突堤 | 横付け厳禁/駐車場から徒歩 |
この表は現時点で公開されている情報の整理であり、最終的な判断は現地の掲示が優先します。ロープや三角コーンが新しく張られていたら、そこが最新のルールです。
陸っぱりで場所がないなら、半島は海に出られる
休日の三浦半島は、朝5時台でも有名ポイントが埋まっていることがあります。そこで機能するのが、貸しボートと渡船という選択肢です。沖に出れば場所取りの競争から解放され、陸から届かない水深とポイントに仕掛けを入れられます。
油壷の手漕ぎボートは、静かな湾で釣りを覚えるのに向く
油壷は、手漕ぎボートで釣りを始めるのに適した場所です。営業は「7:30~15:00で料金は4000円(税込)」とされ、ボートは2人まで乗船できます。ライフジャケットは無料で貸し出され、手漕ぎのみの運用です。
手漕ぎが初心者に向くのは、湾が穏やかで大きな波が少ないからです。エンジン操作を覚える必要がなく、船舶免許も要りません。ポイントまでの距離が短いため、漕ぐ体力の負担も限定的です。
狙える魚は真鯛、マゴチ、メゴチ、アオリイカ、カワハギ、シロギスなど。特にエギングは三浦半島有数のスポットとされ、アオリイカは9月中旬から10月がピークです。メジナ・クロダイは中秋から冬に活性が上がります。
予約は不要で、横堀海岸に直接向かう方式です。「現地に約40台のストックがあり、乗れないことはまずない」とされていますが、風が強い日は出船判断が変わります。出発・到着時にはスタッフが対応し、ポイントの指導や困ったときの電話対応もあるため、初めてでも放り出されることはありません。
| 住所 | 〒238-0244 神奈川県三浦市三崎町小網代 |
| 電話番号 | 046-881-2873 |
| 営業時間 | 7:30-15:00(手漕ぎボート受付) |
| アクセス | 三浦海岸駅からバス、または車で油壷釣船組合へ |
| 駐車場 | あり(徒歩3分圏内、500円/日) |
| 公式サイト | 公式サイト |
ヒット三浦海岸は、馬力を選べるから釣りの幅が広がる
もう少し沖を攻めたいなら、三浦海岸のボート店が候補になります。ここでは2馬力の小型ボート、9.9馬力の中型船、15馬力の大型船が用意され、狙う場所と人数に応じて選べます。ガソリン代は料金に含まれます。
馬力の違いは、移動できる距離の違いです。2馬力は船舶免許が不要な区分で、湾内の近場を回るのに向きます。9.9馬力や15馬力になると沖のポイントまで出られ、青物やヒラメといった回遊性の魚を狙う選択肢が生まれます。
この店の利点は動線です。「駐車場、受付、トイレ、ボート乗り場のすべてが隣接しており、国道の向かい側にはコンビニもあります」とされ、朝の準備で走り回る必要がありません。京急の三浦海岸駅から徒歩圏内という点も、電車派には大きな意味があります。
注意点は支払いと予約です。支払いは現金のみで、乗船前の事前精算。キャンセル料は前日午後6時以降に発生します。初心者向けのレクチャーは別途手数料がかかるため、利用するかどうかを事前に決めておくとスムーズです。
| 住所 | 〒238-0112 神奈川県三浦市南下浦町上宮田1083 |
| 電話番号 | 090-8491-0890 |
| 営業時間 | 5:15-(受付)、6:00-(出船) |
| アクセス | 京急「三浦海岸駅」から徒歩圏内、駐車場・受付・トイレ・ボート乗り場隣接 |
| 駐車場 | あり(同敷地内) |
| 公式サイト | 公式サイト |
金田港の浜千鳥は「竿も借りられる」から手ぶらに近い
道具をまだ持っていない段階でボート釣りを試すなら、金田湾の貸しボート店が選択肢になります。ここでは「釣り竿(リール付き)もレンタルできます、免許不要で乗れる2馬力ボート」が用意され、餌やタックルも現地で販売されています。
レンタル竿の価値は、道具選びの失敗を避けられる点にあります。ボート釣りに必要な竿の長さは陸っぱりと違い、短めのものが扱いやすいのですが、それを知らずに長い磯竿を持ち込むと船上で持て余します。まず借りて、感覚をつかんでから買うほうが遠回りになりません。
保有ボートは50隻規模で、手漕ぎと2馬力モーターの両方、いずれも2人乗りです。季節別の釣果は6月から9月がイサキ、春から初夏がヒラメ、夏から秋がタコ、通年でマダイやスズキも狙えるとされています。1971年から営業を続けている老舗です。
冬季は閉店する期間があるとされるため、寒い時期に向かう場合は営業しているかを先に確かめてください。料金体系も含め、最新の情報は公式サイトで確認するのが確実です。
| 住所 | 神奈川県三浦市金田湾 |
| 電話番号 | 046-888-2265 |
| 営業時間 | 6:00-15:00 |
| 定休日 | 冬季閉店あり(要確認) |
| アクセス | 京急「三浦海岸駅」→バス2番線「金田」下車→進行方向70m |
| 駐車場 | 無料駐車場あり |
| 公式サイト | 公式サイト |
渡船で磯に渡るなら、荷物とマナーの作法を先に覚える
三崎港と城ヶ島の間には渡船が通っており、車を使わずに城ヶ島へ渡る手段になります。地磯に立ちたいけれど長い歩きは避けたい、という場面で効いてきます。
渡船を使うときに初心者が戸惑うのは、乗船そのものより荷物の扱いです。狭い船内で竿とクーラーを持ったまま立っていると、揺れたときに危険です。荷物は指示された場所にまとめ、他の乗客の荷物の受け渡しは互いに手を貸すのが磯の作法です。
料金の支払いは帰港時の後払いが一般的で、これも初めてだと迷う点です。乗る前に支払おうとして止められることがありますが、慌てる必要はありません。
磯に渡る日は、装備の要求水準が一段上がります。磯靴、グローブ、ライフジャケットは必須で、天候が崩れたときに自力で戻れない場所に立つ以上、うねりが残る日は見送る判断も必要です。渡船側が出船を中止する日は、素直に従ってください。
三浦半島釣りで最初に決めるのは魚ではなく釣り方
三浦半島は魚種が多いため、あれもこれもと狙いたくなります。しかし1日で複数の釣り方を試すと、どれも準備不足で終わります。釣り方を1つ決めて、その釣りに合う場所を選ぶ順番が正解です。
ウキフカセはメジナとクロダイを本命にする王道
三浦半島の陸っぱりで最も実績があるのが、ウキフカセ釣りです。城ヶ島、宮川港、通り矢堤防のいずれでもメジナ・クロダイの好実績が伝えられており、半島全域で通用する釣り方と言えます。
フカセが強いのは、コマセで魚を寄せて仕掛けを同調させる釣りだからです。潮に乗せて仕掛けを流すため、堤防の足元だけでなく沖の潮筋まで探れます。城ヶ島水道のように潮通しの良い場所では、この特性がそのまま釣果に変わります。
初心者がつまずくのは、コマセと仕掛けが同じ場所を流れていないケースです。コマセを足元に撒いて仕掛けを遠投していると、魚のいる層と仕掛けがすれ違います。撒く位置と投入点をそろえるだけで、当たりの数は変わります。
判断のコツは、ウキの流れる速さを見ることです。ウキが速く流されるなら潮が速く、コマセは潮上に撒く必要があります。コマセを使った後は堤防を洗い流すところまでがワンセットである点も、忘れないでください。
フカセの仕掛け構成やウキの浮力選びは、こちらで詳しく整理しています。

釣具店のフカセ釣りコーナーに立つと、ウキだけで棚が一段まるごと埋まっています。0号、G2、B、2B、3B。ハリスは1.5号と1.75号が並び、ハリは4号から7号…
エギングは春が大型、秋が数釣りの二山で考える
アオリイカを狙うエギングは、三浦半島では春と秋にはっきり分かれます。城ヶ島や通り矢堤防では春に大型、秋に数釣りという傾向が報告されており、油壷は三浦半島有数のエギングスポットとされています。
春と秋で釣り方の考え方が変わるのは、イカのサイズが違うからです。春は産卵に向けた大型が藻場周辺に寄り、数は出ませんが1杯が大きい。秋は生まれた個体が浅場に群れるため、数は出るがサイズは小さい。同じ釣りでも、狙う水深と場所が変わります。
初心者の失敗で多いのは、秋の数釣りシーズンに春と同じ場所を攻め続けることです。秋の個体は足元の浅場にいることが多く、遠投しても届かない場所を探していることになります。
アオリイカのピークは油壷で9月中旬から10月とされますが、水温次第で前後します。エギングは仕掛けがシンプルで荷物も少なく済むため、電車釣行との相性が良い釣りでもあります。
サビキとチョイ投げは、家族連れの現実解
子どもと一緒に行くなら、サビキ釣りとチョイ投げが答えになります。城ヶ島ではサビキでアジ・イワシがファミリー向けの釣りとされ、チョイ投げではシロギス・カレイが狙えます。三崎港や宮川港も足場が良く、この2つの釣りに向いています。
この2つが家族向けなのは、待ち時間が短いからです。サビキは魚が回ってくれば連続で釣れ、チョイ投げは投げて待つだけで小型が遊んでくれます。フカセやエギングのように技術が釣果を左右する割合が小さく、初日から結果が出ます。
失敗するのは、魚が回っていない時間に粘ってしまう場合です。アジは朝夕のマヅメ時に接岸することが多く、日中の炎天下に何時間も粘るのは、大人でも子どもでもつらいだけです。短時間で切り上げる前提を作ってください。
子どもを連れる場合、ライフジャケットは大人以上に重要です。堤防でも岸壁でも、足を滑らせれば落ちます。サイズの合ったものを着せた状態でのみ、水際に立たせてください。
穴釣りとウェーダーは、潮位を読み違えると危ない
宮川港ではテトラポットの右側で穴釣りができ、高潮時にはウェーダーが必要とされています。テトラの隙間にオモリと仕掛けを落とすだけの単純な釣りで、カサゴやメバルといった根魚が対象になります。
穴釣りが成立するのは、根魚がテトラの陰に定位しているからです。移動距離が短く、仕掛けを落とし込めば反応が早い。手返しが速いため、短時間でも成果が出やすい釣りです。
ここで起きる失敗が、潮位の読み違えです。干潮時に歩けたテトラの位置が、満潮に向かって水没していきます。宮川港ではタイドプールが満潮時に接近困難になるとされており、釣りに集中していると足元が変わっていることに気づけません。
テトラでの穴釣り中に、満潮に向かう潮位で退路が水没するのが典型的な事故パターンです。原因は「入ったときの水位で帰れると思い込むこと」。対策は、釣りを始める前に潮見表で満潮時刻を確認し、その時刻の1時間前には必ずテトラから上がると決めておくことです。濡れたテトラは滑るため、磯靴での移動も前提になります。
雨でも風でも確実に釣りたい日は、海上釣り堀という手がある
三浦半島には海上釣り堀があり、「今日はどうしても魚に触れたい」という日の答えになります。天候による出船中止や、場所取りの敗北といった不確実性を回避できるのが最大の価値です。
城ヶ島の海上釣り堀は「高級魚を持ち帰れる」設計
城ヶ島にある海上釣り堀では、30m四方のイケスにマダイ、カワハギ、ヒラメ、アマダイ、イサキといった高級魚が放たれています。釣り放題プランでは「マダイ・カワハギ・ヒラメなどの高級魚を制限なくお持ち帰りできます」とされています。
釣り堀と聞くと引きが物足りないと思われがちですが、この施設は「底網がない構造で引きも天然に近い」とされています。底網がないことは根掛かり(スナグ)が減る利点にもつながり、初心者が仕掛けを失う回数を抑えられます。
釣り棒のレンタルは無料で、道具がなくても参加できます。人気で満席になることがあるため、予約してから向かうのが確実です。
営業日と料金プランは施設の公式サイトで確認してください。定休日が設定されているため、思い立って向かうと空振りになることがあります。
| 住所 | 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島 |
| 電話番号 | 046-854-9891 |
| 営業時間 | 9:00-16:00 |
| 定休日 | 火曜日(火曜が祝日の場合は水曜) |
| アクセス | 城ヶ島内 |
| 駐車場 | あり |
| 公式サイト | 公式サイト |
釣り堀には釣り堀のルールがある
海上釣り堀は自由に何でもできる場所ではなく、施設ごとの明確なルールがあります。この施設では、バーブ(かえし)のないフックのみ使用可、子どもはライフジャケット必須、投げる場合はアンダーハンドキャストに限定されています。
バーブレスが指定される理由は、魚と人の両方を守るためです。かえしのない針は魚から外しやすく、リリース時のダメージが小さい。同時に、人の手や体に刺さったときも抜きやすくなります。イケスの周りに複数人が並ぶ環境では、この差が安全性を左右します。
アンダーハンドキャストの限定も同じ発想です。オーバーヘッドで振りかぶると、後方や隣の人に針が飛ぶ危険があります。狭い足場で複数の竿が並ぶ以上、キャストの軌道を制限するのは合理的です。
ルールを知らずに持参した仕掛けが使えない、ということが起こり得ます。バーブ付きの針しか持っていない場合はペンチでかえしを潰すか、現地で調達する必要があるため、事前確認を推奨します。
釣り堀が向いている人・向かない人
海上釣り堀が向いているのは、「確実に魚を持ち帰りたい人」「子ども連れで初めて海釣りをする人」「天候リスクを避けたい人」です。魚が必ずいる環境で、ライフジャケットや道具の準備も施設側で整っています。
逆に向かないのは、「自分でポイントを探すことに楽しさを感じる人」「1日かけて大物と勝負したい人」です。釣り堀は魚を探す工程がないため、そこに面白さを求める人には物足りなく感じます。
おすすめの使い方は、シーズンの入口としてです。秋にエギングを始めたい家族が、まず釣り堀で魚の引きと血抜きを経験してから堤防に出る、という順番だと、初回で挫折しにくくなります。
なお、この施設ではタトゥーが見える状態での入場ができないとされています。施設ごとの入場条件は事前に確認しておくと、当日のトラブルを避けられます。
持ち帰っていい魚、触れてはいけない魚、そして装備の最低ライン
三浦半島の海には、釣ってよいものと、手を出した瞬間に法律違反になるものがあります。ここを知らないまま磯に降りるのは、いちばん危険です。
漁業権=特定の水面で水産動植物を採捕・養殖する権利を、漁業協同組合などに免許した権利のこと。漁業権が設定されている区域では、権利を持たない遊漁者がその対象種を採捕すると違法になります。三浦半島を含む相模湾沿岸では、イセエビに漁業権が設定されています。
アワビ・ナマコ・イセエビは、手を出した時点で罰則の対象
神奈川県は、遊漁者が採ってはいけないものを明確に示しています。アワビとナマコは完全に禁止で、県の案内には「令和2年12月1日の改正漁業法施行後、漁業権や漁業許可に基づかずにアワビやナマコを採捕すると、3年以下の拘禁刑又は3,000万円以下の罰金が科される場合があります」と記載されています。
この罰則の重さには理由があります。密漁が組織的な犯罪として行われてきた経緯があり、資源保護と犯罪抑止の両面から厳罰化されました。「1個だけなら」が通用しない領域です。
イセエビも同様で、「イセエビは相模湾沿岸で漁業権が設定されており、遊漁者の採捕は禁止です」とされています。加えて禁漁期間は5月1日から8月31日までと定められています。サザエも共同漁業権が設定されている区域では対象になります。シラスウナギは13cm以下が採捕禁止です。
磯遊びの延長で子どもが貝を拾うことがありますが、対象種であれば違反になります。最新のルールは神奈川県の公式ページで確認してください(神奈川県「磯遊びのルール」/神奈川県「遊漁のルール」)。
船とボートに乗るなら、桜マークのライフジャケットが義務
貸しボートや渡船を使うなら、ライフジャケットは選択ではなく義務です。水産庁の資料では「小型船舶の船室外の甲板上では、原則すべての乗船者に桜マーク(国交省認定品)入りライフジャケットを着用させることが船長の義務」とされています。
桜マークが求められるのは、浮力と耐久性が国の基準を満たしていることの証明だからです。見た目が似たベストでも、認定を受けていないものは基準を満たさない可能性があります。船釣りやボート釣りで使うなら、この表示の有無を必ず確認してください。
油壷の貸しボートではライフジャケットが無料で貸し出されるため、持っていなくても乗れます。ただし自分の体格に合ったものを使いたいなら、購入したほうが確実です。膨張式と固型式があり、磯やボートの用途では扱いやすさが変わります。
詳しい基準は水産庁の資料(ライフジャケットの着用義務に関する資料)で確認できます。堤防での着用は義務ではありませんが、子ども連れなら着せてください。
磯靴とグローブは、命綱ではなく前提装備
三浦半島は地磯に降りられる場所が多く、城ヶ島の灘ヶ崎やホテル下の磯がその代表です。足場が岩の場合はマリンシューズや磯靴が推奨され、マリングローブやラッシュガードもケガと日焼けの防止に役立ちます。
磯靴が必要なのは、濡れた岩と海藻の上ではスニーカーのソールがまったく効かないからです。フェルトやスパイクのソールは、この滑りに対応するために存在します。堤防用の靴で磯に降りるのは、雪道をサンダルで歩くのと同じことです。
グローブは転倒時に手のひらを守るだけでなく、魚のヒレやハリからも手を守ります。アイゴのように毒のあるトゲを持つ魚は通り矢堤防でも釣れるため、素手で扱わない習慣が役立ちます。
毒魚や食べられるかどうかの判断に迷ったら、無理に持ち帰らないでください。見た目が似た別種であることは珍しくなく、判断に自信がないものは海に戻すか、公的機関の情報で確認するのが安全です。
実は、釣り場が減る原因は釣果ではなく駐車とゴミ
意外と知られていませんが、三浦半島で釣り禁止エリアが増えている原因は、魚が減ったからでも、釣り人が増えすぎたからでもありません。三浦半島では「釣り人のマナーや釣りゴミの問題で釣り場が減ってしまう状況があります」と指摘されているとおり、原因は駐車とゴミです。
漁港は漁業のための施設であり、釣りは黙認されている立場にあります。漁船の前に車が止まっていれば、水揚げができません。作業の妨げになれば、管理者は釣り禁止の看板を立てるしかありません。
通り矢堤防で車の横付けが厳禁とされ、堤防から徒歩18分の駐車場を使う運用になっているのは、この結果です。逆に言えば、決められた駐車場を使い、ゴミを持ち帰り、コマセを洗い流すだけで、その釣り場は来年も使えます。
釣り場を守る行動は、次に来る誰かのためだけではありません。自分が来年も同じ場所に立てるかどうかの話です。三浦半島はいま、その分岐点にあります。
まとめ:三浦半島の釣りは「立てる場所」から逆算すると決まる
最初の一歩としておすすめしたいのは、次の休みに三崎港へ行き、竿を出す前に港内を一周してみることです。どこにロープが張られ、どこに看板が立っているかを自分の目で見ておけば、次に城ヶ島や宮川港へ行ったときも、同じ目線で釣り座を選べるようになります。魚を探す前に場所を読む――これが三浦半島で長く釣りを続けるための、いちばん確実な順番です。
釣り場のルール・営業時間・料金は変更されることがあります。お出かけ前に各施設および神奈川県の公式情報で最新の内容をご確認ください。

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